石巻へ 2

 

・店店の火事と思へば秋刀魚なり

来週火曜日、
埼玉にある女子大学で、
「地域メディア論」担当教授のゲストとして、
話することになりました。
石巻へ本の印税を届けに行ったことを中心に話すつもりです。
地域メディアとの関連で
話の内容を考え、
吟味しながら、
わたしに中央志向はあるかと自問すると、
たぶん無い、か、
あまり無いなと自答します。
小学生のとき、
県会議員の立候補者が
我が家で演説会をすることになり、
隣近所の人々がどやどやとやって来ました。
わたしは奥の部屋にこもりました。
父や叔父から“先生”にあいさつしなさいと
いくら勧められても、
柱につかまって、
てこでも動きませんでした。
権威が嫌いとか、そういうんじゃなくて、
ただ単に人見知りな性格だっただけだと思います。
が、
権威をかさに着るひとは
やはり好きではありません。
大学の先生でたまに、
研究室の椅子にふんぞり返り、
訪ねていったこちらに向かい、
股をおおっぴらに
これでもかというぐらいに
広げていらっしゃる方がいて、
ははあ、
いんきんだなと一瞬思いますが、
いや、
いんきんは若者がかかる病気だから、
この人は、
ただ偉ぶっているだけかと心のなかでつぶやきます。
こういうことを
ツイッターでつぶやくといいのでしょうか。
ともかく。
中央志向が少なかったこと、
あるいは、人見知りな性格だったことが、
既成の価値観にあまりとらわれずに
これまでやってこれた所以かとも思います。
わたしがもっとも大事にしているのは、
人とのご縁です。
若いときはわかりませんでした。
歳を重ねるにつれ、
ご縁の不思議に打たれ、
その世界で精進しようと思うようになりました。
大きなものより小さなもの、
力よりはかなさ、
中央より地方、中央のなかの地方に、
今回の震災で多くの人が目を向けるようになったと思います。
神奈川新聞「自転車記者が行く」のコラムを
きのうに引きつづき。
コチラです。

・初秋刀魚に白いご飯あればよし  野衾