丸谷才一さん

 

・鰯雲運動場の子ら跳ねり

「池内紀の読書会」「長田弘の読書会」につづいて、
「丸谷才一の読書会」をやりたいと、
心中ひそかに期するところがありましたが、
叶いませんでした。
今月十三日、
お亡くなりになりました。
八十七歳。
昨年、
ソーントン不破直子・内山加奈枝編著による
『作品は「作者」を語る』を
弊社から出した折、
丸谷さんから直接複数の注文があり、
驚きもし、
うれしくもあり、
ちかいうちにぜひ機会を見つけ、
『源氏物語』について
お話をうかがいたいものと思っていました。
かつて(今も)、
わたしは英文学者の中野好夫さんが好きで、
中野さんの書くものなら
なんでも読んできましたが、
中野さんが亡くなった後、
中野さんに比する文学についての読み巧者は、
丸谷才一さんだと勝手に思い定め、
丸谷さんの書くものも読んできました。
丸谷さんは東大時代の、
中野さんの教え子ですから、
文学への基本姿勢を
中野さんから教えられたのではないかと、
これまた勝手に想像しています。
作品は「作者」を語るでしょうから、
たくさんあって
全部は無理にしても、
まだ読んでいないもののなかからいくつか選び、
これからじっくり読みたいと思います。
ご冥福をお祈りします。

写真は、なるちゃん提供。
秋田の刈り入れ。

・秋の日や気持ちいいなとつい洩らし  野衾