ギョイ

 

・一日の終りの愉楽845

おしりが痒くなることがあります。
おしりの山のいちばん肉が付いているところ。
無性に痒くなります。
ふつう、
こういうときの擬声語はボリボリ。
ボリボリとかく、
みたいな。
でも、
おしりの肉をかいているときの音を
よく聴いてみると、
ボリボリとは鳴りません。
ギョイギョイみたいな音がします。
ギョイギョイギョイギョイ……。
これも一つの発見で、
そうなると追究したくなって、
さらにかく。
鏡に映るわたしのおしりは真っ赤っ赤。
それでもギョイギョイギョイギョイ……。
ん。
ん。
むむ!?
そうか。
そうだったか!
おしりの肉は大殿筋(だいでんきん)
または大臀筋(だいでんきん)。
グーグルで検索すると、
大殿筋のほうが数が多い。
真ん中に殿(との)の字が入っているではないか!
そこでギョイ。漢字で書くと御意。
しかして御意とは。
大辞林によれば、
ぎょい【御意】
①貴人や目上の人を敬って、その考え・意向などをいう語。
(ア)おぼしめし。おこころ。「――のまま」「――に従う」
そうか。
大殿筋は殿の筋肉だから(そうじゃないだろ)、
それを敬って
ボリボリかいても御意御意って鳴るのか。
そうなると、
おしりをかくたび
その単語に羽が生え
蝙蝠(こうもり)のように空中を飛び交うようになりました。
御意御意御意御意御意御意御意御意御意御意…。

・カップ麺のカップ吹っ飛ぶ野分かな  野衾