70セット

 それを言っちゃあおしめーよ花見上ぐ
 以前勤めていた出版社では、復刻版を中心に、5万〜10万円のセットを200から300セット作っていた。わたしがいた頃だから、10〜20年前ということになる。
 刊行後100〜150セットぐらいが割りと早めに売れ、残りのセットを2、3年、あるいはそれ以上かけて売るという業態ではなかったかと思う。
 昨日、オンデマンド印刷をウリにしている印刷会社の営業マンが来られ、いろいろ聞かせてもらったなかに、この頃の復刻の話があった。
 200〜300セットというのは往時の話で、いまは60〜70セット作ればいいほう。ということは、作っても、すぐに売れるのは30セットぐらいかと思われる。
 復刻というのは、貴重な資料を眠らせず、だれの眼にも触れられるようにするという、出版業のある大切な部分を表現したものであるけれど、資料の閲覧ということでは、インターネットに飲み込まれても仕方がないのかもしれない。資料にプラスするアルファの価値をどこに持たせるかによって生き残りが決まる。なにも復刻版に限らない。
 思い出の男はつらいよ桜かな

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