第三の男

 桜見てウツのこころを癒しけり
 こんな夢を見ました。
 マリナーズのイチローとわたしと知人の三人で、目的のものを探して歩いているうちに、ずいぶん遠くまでやってきてしまい、バスもなく電車もなく、だだっ広い丘陵と青い海があるばかりで、そろそろ日も暮れ、こころが折れそうになるのをやっと堪えておりました。
 マリナーズのイチローはチームの本拠地に近いらしく、イチローらしくカッコよく「じゃ、また」とさっと手を上げ、たったったったったっ、と駆けて行ってしまいました。
 知人と二人になったわたしは、気休めとは知りながら磁石を取り出して方位を確かめ、東に向かって歩くことにしました。
 しばらく行くと、漁師たちが集まっていました。群集の間から、黒いぶちぶちが不気味な茶色くぬめぬめと濡れた物体が動くのが見えました。
 もうそんなことに構っていられない気がして、知人を促し、走り出したのですが、この知人、だれだったのかが思い出せません。
 晴れ晴れし鼻を啜りて桜かな

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