風邪

 このところ、体がだるだるで、手足が熱っぽかったり急に寒気がしたりして自分が自分でないみたいに感じていたが、きのう市販の風邪薬を買って寝る前に飲んだら、けっこう寝汗をかき、気分がよくなった。ウォーキングに凝って毎日歩くのもいいけれど、頑張り過ぎに要注意といったところか。
 風邪が流行っているようです。みなさん、気をつけましょう。

帽子専門店

 最近帽子が気に入って、会社にも被っていくようにしている。さすがに皆さん気がついて「あら、いいじゃない。似合っているわ。どこで買ったの」などと声をかけてくれるものだから、お調子者のぼくはすぐに「川崎に辻野帽子店という老舗の帽子屋さんがあってね、種類も数もそれはそれは豊富なの。そこへ行けば必ず似合う帽子がある」とぺらぺらしゃべった。すると石橋が、「じゃあ今度連れて行ってよ」。「わたしも」と武家屋敷。ということで、きのう、営業で出かけていた石橋とは川崎駅で待ち合わせることにして、武家屋敷と二人、退社後、京浜東北線の電車に乗ってトコトコ川崎まで出向いた。辻野帽子店までは駅から歩いて五分。和服姿の女将さんがいろいろ二人に似合いそうなものをみつくろってくれ、被り方を教えてくれる。石橋はチェックのハンチング。武家屋敷はキャスケット。
 女将さんの話では、ヨーロッパの業者には、日本人に合いそうなものを選び、これこれのサイズのものをと一年前に予約するのだそうだ。自社ブランドの帽子も飾ってあるから、それについて質問すると、「職人さんもいろいろでねぇ」と顔をほころばせた。
 店を出、仲見世通りのタイ料理のお店パタヤを探したが、あるべきところに店がない。確かここだったという場所に看板はなく、それでも諦めきれずに見ていたら、二階の窓に見覚えのある絵があったので、場所は合っている。ということは…。残念だが、憶測はほどほどにして、駅から下りた地下で見たタイ料理のお店に入った。値段も手ごろ。安くて旨い。チェーン店で横浜なら伊勢佐木町にもあるらしい。この味ならほかの社員も喜ぶだろう。
 おっと。川崎の辻野帽子店はこちらです。川崎の駅に降りると、ほかの街に比べて帽子を被った人が目に付くのは、辻野さんがあるからかもしれないと思った。

秋晴れ

 台風20号の影響などもあり、このところぐずついた天気が続いていたが、今朝は気持ちよく晴れた。晴れた日に歩くのは気持ちがいい。下ろしたての靴を履いて今日は歩いてみよう。
 きのうは、約10ヶ月ぶりにオペレーターの米山さん来社。昼少し前にJR石川町駅で待ち合わせ、そこから歩いて中華街は景徳鎮へ。食事しながらしばし歓談。その後、元町口の石川町駅から電車に乗り桜木町まで。米山さんの到着を社員一同今や遅しと待っていた。おみやげに持って来てくれるプリンが殊のほか美味しいのだ。今回はさらに、ふわふわのチーズケーキまで加わって。部屋の真ん中にある木のテーブルを囲み、美味しいね美味しいねで頬張り、米山さんに感謝。これからもよろしくお願いします。え? 仕事仕事。仕事のことです。

靴やぶれる

 数年前(十年前?)からわたしは靴を二足ずつ買っていて、それを交互に履くようにしている。ホーキンスの靴だが、これがわたしには一番フィットするようなので、以来、そのようにして今日まで来た。
 交互に履いているから、ほぼ同時期に靴の横が破れたり、靴底に穴が開いて降った雨が染みてくる(そこまで履くかよ!)ようになるが、まったく同時というわけにはいかない。今回、一足が破れたのを機に、また二足買い、破れた靴を捨て新しいのを下ろして履いていたが、古いもう一足がまだ破れていなかったから、きのうまで履いてきた。ら、とうとうきのう破れた。よくぞ頑張ったと思う。左が破れ、右の底に小さな穴が開き雨が染みてきた。会社のみんなに見せてあげた。みんな、「ほー」とか「へー」とか「はー」とか言っている。結局、「そこまで履くか」の溜め息のようだ。
 今日はオペレーターの米山さんも来社することだし、新しい靴で気分一心、出社することにしよう。

いちばん凄いところ

 SmaSTATION-5というテレビ番組で黒澤明特集をやっていた。なにっ、黒澤特集だ!? 黒澤映画好きのわたしとしては見過ごすわけにはいかぬ。スマップの香取慎吾が進行役を務めるアレだ。ゲストは爆笑問題の太田光。
 番組は、まぁ予想通りの進行で、世界の黒澤がいかに凄いかを伝えるために、今をときめくスティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、フランシス・F・コッポラ、マーティン・スコセッシなどハリウッドを代表する映画監督や、クリントイーストウッドら世界的俳優人が、その影響の大きさを公言し、リスペクトしてやまない、どうだスゲェ〜だろう! みたいなことだった。すると太田が、「黒澤明に比べたら、スピルバーグもルーカスもコッポラも雑魚だよ雑魚。なんで黒澤の凄さを言うのにスピルバーグやルーカスやコッポラを引き合いに出すのさ。桁が違うっつうの」と言った。我が意を得たり! やんややんや! やっほー!! だ。そう言ったときの太田さん、目がキラキラして。わたしは「そうだ。その通り!」と、テレビの太田さんに向かって喝采を送っていた。太田さん、さらにこうも言った。「黒澤さんはもちろん天才ですよ。でも、黒澤さんのいちばん凄いところは、自分の限界をちゃんと知っているということですよ。黒澤さんは脚本がすべて、脚本を大事にする人なんですが、自分ひとりで作ったのももちろんあるけれど、ほかの脚本家と共同で作ったものが多い。そして、そういうものが映画として面白い。…」これもなるほどな意見。
 このあいだ、NHKの「私のこだわり人物伝」で、脚本家の向田邦子さんを紹介していたのが太田さんで、見るともなしに、つい見てしまった。太田さんて、面白いなぁとその時も思ったが、今回、好きな黒澤明についての意見を聞き、ますますその感を強くした。

インド家庭料理

 地下鉄とバスを乗り継ぎ、横浜市都筑区東山田にあるインド家庭料理のお店ラニへ行って来た。インド料理の店ということになれば、だいたいどこでも、それなりにインドの風情を醸し出しているから、その点で、ここだけが特別どこがどうしたという感じはしない。ところが、店に入ってから出るまでのあいだ、食事も含めて、なるほどこれはインド! と感じ入った。
 店で働く男たちが皆兄弟だということもあるかもしれない(一緒に行った知人は二人しか区別がつかないといっていたが、別々の男が五人は確認できた)が、至るところにインドの空気が漂っている。テーブルや椅子の置き方一つにしても、日本人ならこうは置かないのではと思わせられる微妙な置き方なのだ。たとえ、三センチしか違わないとしても、それが自ずと感じる自然さだとすれば、その感性が作り出す料理も空間も別物となろう。知人はキーマカレー。わたしは野菜カレー。食後にチャイ。
 店を出、バス停で休日の時刻表を見たら、目的のバスが三時間も来ないことになっている。歩きながら車を拾おうとするも、タクシー通らず。結局、店まで戻って呼んでもらうことに。「OK! タクシー呼びましょう。すぐ来ますよ」とインド人特有の小首を傾げるイエスのサインも懐かしく椅子に座って待った。結局「すぐ来ますよ」の「すぐ」が三十分ほどだったのも、なんともインドやな〜と懐かしかった。味も雰囲気もいいのでお薦めだが、休日公共交通機関ご利用の向きは、帰りのバスまで調べておいたほうがいいかもしれない。

武家ダンス

 『ダンテ神曲原典読解語源辞典』が完結し、著者の福島先生と奥様をお招きした。学習院大学の中条省平さんは「あれは凄い辞書だ!」と絶賛している。
 先生は歌が好きで、ご自身歌われる。社の近くの寿司屋で乾杯し、その後二台の車に分乗、一路保土ヶ谷のコットンクラブへ。酒を控えるようになってから、しばらく足が遠のいていた。ママに会うのも久しぶり。石橋がさかんに「ママ、なんだか可愛くなったわ」と感に堪えた声。ほんとだ。タバコを止め、二駅分を歩くようにしていると言っていたが…。
 二階の特別席(ここからだと畳二畳分はあろうかという大スクリーンが正面に見られる)に陣取り、まずは前座でわたしが三橋美智也の「石狩川エレジー」。福島先生は、英語、フランス語、イタリア語の歌を次々に。石橋は古いのから新しいのまでいろいろ。若頭内藤は若頭らしくエゴ・ラッピン「色彩のブルース」とかローリング・ストーンズの「スター・ミー・アップ」とか。さて、問題(!?)は武家屋敷。『ダンテ神曲〜』が完結したのが担当者としてよほど嬉しかったのか、珍しく持ち歌を次々披露している。何を考えたか若頭、勝手にサザンの「HOTEL PACIFIC」を入れたので、わたしは慌ててマイクを取り、武家屋敷には前に行って踊ってはと目で合図。なるほどね。断るのかと思いきや、武家屋敷、喜び勇んで、かどうかは定かならねど、とにかく前に出、武家屋敷以外には踊れないという、これをユニークと呼ばずして何をユニークというのかというぐらいの、なんとも(ほんとに、どう言葉で表現したらいいのか分からない)ユニーク、フリージャズみたい(タップダンスみたいなのも混合されている)な踊りを踊った。なんとも表現の仕様がないから、とりあえずわたしは「武家ダンス」と呼んでいる。先生ご夫妻も大喜び。席に戻った武家屋敷、息せき切って言葉にならない。そんなに頑張らなくてもと思ったが、真面目は武家屋敷の真骨頂。
 歌あり踊りありのささやかな出版記念パーティーは打ち解けた雰囲気で終了。階段を下りて行くと、来た時には空いていたカウンター席が客でびっしり。送って出てきた凉子ちゃんに「帽子似合うわよ、三浦さん」と言われ照れくさかった。ママも出てきて「ありがとう」。いえいえ、こちらこそ。わたしも久しぶりに大声で歌わせていただきました。