カレンダー

 来年のカレンダーと手帳を買うのが年末のひそかな楽しみ。
 手帳は例年のごとく、高橋の手帳No.78で、特に問題なし。問題はカレンダーのほうで、大きく外してしまった。小さく写った表紙写真をネットで見て判断したのがいけなかったのだ。
 宅急便が会社に届いたら、皆、仕事の手を休め、ぞろぞろと集まってきて(だいたい、なんでそんなに集まって来んだよ)、見せてください、見せてください、ねえ、ねえ、見せてよ、シャチョー、ねえってばあ…。
 ああ、悔やまれる、見せなければよかった。自分ひとりで失敗を飲みこんでいればよかったものを、社員思いのこころが徒となり、つい、見せてしまった。
 そうしたら、若頭ナイトウは両手の人差し指を交差させ、バツ、バツ、バツだし、たがおは言下に「これ、ダメでしょ!」(一刀両断!)、愛ちゃんはケラケラケラケラ笑うばかり(涙まで流さなくったっていいじゃない)だし、武家屋敷は憐れむような目でわたしを見ている(これ、結構こたえた)し、もう、おれイジけた、完璧イジけたよ。
 家に持って帰り、ひとり静かに、このカレンダーに対面しながら、このカレンダーのいいところをどこか見つけようとしたのだが、無駄、無駄でした。でも、あんなに皆に悪く言われると、捨てて、代わりのを買うのもなんだか気がひけるしさ。あーあ。