かくされているもの

 

魚がイエス・キリストの象徴であることを、
いつ聞いたか、
読んだか、
とんと忘れてしまっていましたが、
宮田恭子さんの『抄訳 フィネガンズ・ウェイク』
のなかに、
「だから、さあ、キリストのために魚を回しておくれ、アーメン。」(p.421)
という文言が出てき、
そこの脚注に、説明がありました。
いわく、
「ギリシア語の「イエス・キリスト、神の子、救い主」
(Iesous,CHristos,THeou Uios,Soter)の頭字ICHTHUSは「魚」の意であることから、
魚はキリストの象徴とされる。」(pp.420-1)
すっきりしました。
文章や詩の各行の先頭または末尾の文字をつなげると、
ある語句になるという言葉遊び
をアクロスティックといいますが、
それに近いのかな。
とにかく。
言葉遊びみたいではありますが、
初めにことばがあって、
ことばは神であって、
すべてのものがこれによってできたとすれば、
案外、
ソトにはなかなか現れずに、
ウチに隠されていて、
子どものことばや遊びのなかにヒョイと㒵を覗かせる、
また、
記憶の底のほうを静かに流れている、
そんなことがあるかもしれない、
とも思います。

 

・秋澄むや二度コーヒーを淹るる味  野衾