五木さんの「稲」

 

きのう届いた『秋田魁新報』を読んでいましたら、
五木寛之さんのコラム「新・地図のない旅」
に、
おもしろいことが書いてありました。
五木さんは今年九月で九十歳を迎えますが、
これまでずっと、
早稲田の「稲」の字の右下にある「旧」を「田」だと思ってきたと。
稲は田んぼに生えるから、
「田」だろうと、
なんとなく思ってきたのだとか。
手書きの原稿の「稲」の「旧」はすべて「田」と書いていたはずだから、
そのつど、
担当の編集者が、
五木さんに告げずに、
そっと直してくれていたのだろう、
とありました。
ちなみに五木さんの最終学歴は、
早稲田大学露文科中退。
大学時代のエッセイも少なくありませんから、
かなりの数の間違った「稲」を書いてきたのでしょう。
わたしの中学時代の先生で、
「備」の右下「用」のところを、
横棒を2本でなく1本、縦棒を1本でなく2本書く先生がいました。
こわそうな先生でしたから、
だまっていました。

 

・新緑を漏れ来る影の高きより  野衾