映画『浜の記憶』を観る

 

シネマ・ジャック&ベティにて、
大嶋拓さんが監督・脚本をつとめた『浜の記憶』を観てきました。
齢93の漁師・繁田とカメラマン志望の少女・由希が織りなす出会いと別れ。
シンプルなストーリーの中に、
家族とは? 老いとは? 愛するとは?
ふかく不易の問題が
しかつめらしくなく提起されており、
風光明媚な鎌倉の自然をたのしみながら、
じぶんのなかに浮かびくる
いろいろな想念を味わいました。
とくに、
じぶんの父親を
「あのひとはそとづらがいいのよ」
ということまで口にする老漁師の娘・智子と由希との会話
は圧巻。
家族の難しさをつくづく考えさせられました。
そのシーンを見ながら、
ふと、
家族というのは
生きているあいだは
この世の軸、
いわば横軸でつきあい
関係するしかないのかもしれない、
それに対し、
見知らぬ人との一期一会(この映画の場合、老漁師・繁田と由希)は、
この世をつらぬいて光芒を発する
垂直の軸において時と場を与えられる、
そんなことを感じ考えさせられました。
鎌倉の空、海、寺、人びとの笑顔、何気ない会話ともあわせ、
一時間弱のみじかい映画ながら、
ふかくたのしく堪能させていただきました。
おススメです。
シネマ・ジャック&ベティでは、
11月22日(金)までの上映となります。

 

・交はすごと烏鳴きをり秋の朝  野衾