教育と他者

 

橋本憲幸さんの
教育と他者 非対称性の倫理に向けて』が
日本比較教育学会平塚賞審査委員会特別賞を受賞いたしました。
わたしが体調を崩したことで、
さいごはほかの編集者に頼みましたが、
編集にかかわった者として、
これはとても印象深い本でした。
それは書名の変更に端的に表れていたと思います。
当初はちがうタイトルでした。
なんどかの校正のやり取りをする過程で、
橋本さんは、
自身がしてきた研究は、
とどのつまり、
教育の倫理に関するものだったとはっきり認識するに至ります。
そのプロセスが、
伴走する者としてとてもスリリングに感じました。
帯文は本文から引いたものですが、
そこに橋本さんの感性が
ひとことで表現されています。
すなわち、

 

教育はどこまでも教育者の側にあり、教育は不遜な行為である――
だとすれば、教育という行為はどこまで正当化しうるのか?

 

橋本さんの真摯な学びと研究が斯界のひとの目にとまり、
受け止められ、了とされたことを
わたしもたいへんうれしく思います。

 

・逗子までの眉間に皺寄す暑さかな  野衾