匂い袋

 

このごろシャツのポケットに匂い袋をしのばせることがありまして。
帰省した折、
ふと思いつき黙って
母の鼻先へ匂い袋を持っていくと、
「お。いい匂いだごど!」
味を占めたわたしは別のときに今度は父に。
父はといえば、
何も言わずに口をポカンと開けた。
意表を突かれ、
それから笑いが噴き出した。
食べ物と間違えたらしい。

 

・石組みの石も割れよと蟬の声  野衾