あ、リスくん

 

きみ、そんなところにいると、それと知らずに踏みつぶしかねないから、
あっちに行っててよ。
なんてことを、現れたクモくんに言う。
すると、返事はしないが、そそくさと部屋の端のほうへ移動する、
そんなことは到底あり得ないように思うけれど、
いや、ときどきあって、
ことばは通じなくても、やはり、気は通じるのかな。
と。
けさは、
グレーのカーペットの上に、黒い点のようなものを見つけ、
もしや、と思ったら、案の定クモくんでした。
うごかない。
これまでもそうでしたが、
クモくんは、
うごかなくなると、
脚を折り曲げ小さくなってかたまります。
さて、きのうのこと。
部屋の窓から見える尖った三角屋根のほうを見ていたら、
すっかり冬構えを終えていて、
紅葉となった大きな木とのバランスも良く、ある風情をかもし出しています。
あ。
いまのは!?
と、今度は反対方向に。
冬囲いの上を往復で走ったから間違えようがありません。
あれは台湾栗鼠のリスくんです。
へ~、きみ冬眠しないの?
しないんだね。
このごろ目にしなかったので、
なんだか久しぶりの友に再会できたようでうれしくなった。
クモくん、リスくん、
とじぇねジッコの友だち。

 

・冬の星見えぬ無限の未知なる語  野衾