謙虚であること

 

新井奥邃さんのことばで、いちばんだいじなのは「謙虚」
であると思います。
そのことは、事実と行いを以て、
一生をかけて学ばなければいけないことだとも思います。
明治女学校で奥邃さんの謦咳に接した作家の野上弥生子さんの遺作『森』
に登場する村井先生(=新井奥邃)は、
こんなことばを語ったそうです。

 

「あすこに集まっている方々は、皆さんがただ人びとではない。
申さば、
一人一人が竜りゅうであり、麒麟きりんであり、鳳凰ほうおうであります」
それを師として学ぶ彼女らは幸福だ。
しかし村井先生の言葉は、
それにはとどまらなかった。
「ただ遺憾ながら、竜や、麒麟や、鳳凰には、馬車は曳けない」

 

「竜や麒麟や鳳凰には、馬車は曳けない」
謙虚、謙虚であること、を奥邃さんならではのことばで語ったのでしょう。
これは、
たとえば、「マタイによる福音書」第23章11・12節のことば
と響き合うと思います。

 

あなたがたのうちで一番偉い者は皆に仕える者になりなさい。
だれでも、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされます。

 

プライベートでも仕事でも、忘れたくないことばです。

 

・うららかやさてと二時間何をする  野衾