目礼

 

先だって、こんなことがあり、ちょっと意識にのこりました。
先週土曜日に出勤し、
このごろのルーティンの一つ、
週に一度の母への手紙を書いて、ほかの仕事をひと段落つけて退社した折、
坂の途中のポストに向かいました。
信号のない道の左右を見、素早く横断してポストに近づくや、
わたしよりも早くポストに近づいた女性がいて、
角2サイズの封筒をポストの広い口に投函しました。
そのとき、
わたしはすでに二メートルほどのところに近づいていました。
その女性、
投函するほんの一瞬前、
わたしにすばやく目礼したように見えたので、
わたしも目礼を返しました。
ほんの一瞬のことで、
互いにことばを用いはしませんでしたけれど、
仮にことばを添えるなら、
「お先に失礼します」
「いいえ。どういたしまして」
ぐらいなことだったでしょうか。
女性はその後、道路を横断し、足早に坂を下っていきました。
たったそれだけのことですが、
そのことにより、
すこし気分が高揚しているじぶんに気づきました。

 

・二時間をすることなしに春日かな  野衾