伏流水のこと

 

仕事で静岡県三島市に行ったとき、
富士山に降った雨が地下に浸みこみ、伏流水となって三島周辺で湧きでる、
といった話をうかがいました。
すぐに湧きでるわけでなく、
70日、26~28年、場合によっては100年もかけ、地上に湧きでるといいますから、
驚きます。
こういうことが、
人と人とが織りなす世界でも言えるかもしれないなと思います。
ドイツに『ファウスト』などで有名な、
1749年生まれのゲーテさんという著名な方がいました
けれど、
ゲーテさんを高山に喩えると、
この山に降った雨が地下にもぐり、
それがやがて湧水となって、
たとえば、
カーライルさん、エマソンさん、ソローさん、オールコットさん、
その娘の『若草物語』を書いたオールコットさん、
などのいのちを養っているのではないか、
さらにさらに、
その水は、
1871年にアメリカに留学し、29年間、かの地にいた新井奥邃さんのいのちも潤した
のではないか、
そんな想像がもたげてきます。
これも、
幽(かく)されていた意味が、時と場所を得て顕現する、
角(つの)ぐむ葦、
宇摩志阿斯訶備比古遅神
(ウマシアシカビヒコジノカミ)
の例かもしれません。

 

・春去ればジヤズレコードの音が鳴る  野衾