藪の中

 

三月に入りました。なかなかスッと温暖な気候に移り変ることはありませんけれど、
ここ山の上から眺めると、
近くの丘、向こうの丘、また遥かの峰に、
ちらほらと淡いピンクの彩りが添えられ、
目をたのしませてくれます。
こうなると、朝のゴミ出しも、なんとなく気持ちが弾んできます。
先週、静かな朝のこと、
ゴミネットの後ろの藪の中で、なにか動いたような気がし、
息を殺してしばらくじっとしていました。
やがてまたガサガサと。
さいしょムクドリかと思いました。
飛び立つかと思いきや、そうでもありません。
ムクドリではなさそうです。
あきらめずに、しばらく佇んでいました。
と。
あ!! リス!!
向こうも驚いている様子です。
目が合いました。
クリックリの眼。
電線を伝わって走り回る姿はしょっちゅう目にしますが、
こんな至近距離で向き合うのは初めて。
ヒョコヒョコと首を二三度、下げたようにも見えました。
春は、いろんな生き物がうごきはじめます。

 

・能見台鎌倉武士の春日かな  野衾