ことばとこころ

 

拙著『鰰 hadahada』を読んでくださった方からありがたいメールをいただきました。
そのなかに、
言葉は心を伝える挽歌、
ということばがありました。
死者を悼む歌が挽歌でありますが、
この場合の死者とはなにか。
それはこころである、
ということになるでしょうか。
メールをくださった方はこうも書いてくださっています。
「ああ、あの時の気持ちはこんなだった、
でもそれを言葉にできるのは、
その気持ちがもう終わったからだ、思い返せるからだ、
という悲しさが常にまとわりついています」
こころの挽歌としてのことば、
とても共感し、
うれしく思いました。
そしてこころを悼むことばはまた、
からだに裏づけられていることが悲しくもあります。
しかし、
ことばがなければ、
そんなことすら思わないでしょうから、
ことばの初源をみすえ、
ことばに感謝し
ことばをみがいて生きたいです。

 

・ふるさとの景深みゆく干大根  野衾