食べてないのに

 

・広瀬川葉音さやけき五月かな

専務イシバシと野毛の福家さんへ。
二人、いつもの定食に一品ずつプラスして頼みました。
イシバシは若竹煮を、
わたしは明石のタコブツを。
タコとイカは基本でしょう。
ほどなく若竹煮がでてきました。
「これ、美味しいからどうぞ」とイシバシ。
すすめてくれたのはありがたいのですが、
かつ、
福家さんのお料理はどれも美味しいので、
きっと美味しいだろうとは思いますが、
イシバシが若竹煮をここで食すのはおそらく初めてで、
しかも、
自身、まだ箸をつけてなく、
なのに、わたしにすすめてくれたのは、
本当にありがたいとはおもいつつ、
「美味しいとは思うけど、それはそうだけど、
あなた、まだ食べてないでしょ」
「あ!」とイシバシ。
わたしの疑問というか、指摘に気づいたらしく、
「それもそうね」
「だろ」
「そうですね。あはははは…」
「あはははは…」
二人の笑いを聞いて女将さん笑顔で、
「ずいぶん楽しそうだこと」
わたしが状況を説明すると、
「あら。そうなの。
ありがとうございます。
わたしもお客さんに美味しいお酒をすすめると、
お客さんから、
酒を飲まないのに美味しいとわかるのと
ツッコミが入ることがありますが、
ええ、
ほかのお客さんが皆さん美味しいとおっしゃいます、
と応えるようにしています」
なるほど。
そういう言い方もあるか。
イシバシもうなづいて聞いていましたが、
今回の場合は、
その言い方もすぐにはあてはまらないような。

写真は、なるちゃん提供。

・しずく落ち杜の都の青葉かな