パン当てクイズ

 

・薫風をうけて葉裏も輝けり

天気がいいので、家人を誘い、
散歩に出かけることにしました。
コースを頭に描いていたわけではなく、
ただ井土ヶ谷方面へ下りて、
春日社の境内で久しぶりに気功をしようと
思い立ったのでした。
境内には大銀杏の木があります。
小さな神社ですが、
おもむきがあり、
体調の悪かった数年前、
ここでよく気功をしたものでした。
三十分ほど気功をし、
それから裏通りを歩いて、井土ヶ谷駅へ。
線路の下をくぐると横浜南郵便局。
さらにすすんで住吉神社。
参拝を終え、
来た道を戻りました。
手作りの豆腐屋さんの看板に「坂豆腐店」とあり、
変な名前だなあと思ってよく見たら、
縦書きの看板の「坂」の文字の左に「大」。
書き始めのときに忘れたか、
目をひくためにわざと横へずらしたか、
そこは定かではありませんが。
少々疲れてきました。
軽い散歩のつもりで、
二人とも財布を持たずに出てしまい、
腹が減ってもおカネがありません。
かもめパンのお店の前のベンチに座り、
しばし休憩。
次から次へお客さんが来て、
トレイ片手にパンを選んでいきます。
ベンチは、お店のウインドウに向かって置かれています。
「あの人、どのパン買うかな?」
「え!?」
「あの人さ、どれを買うと思う?」
「ん~。ガーリックフレンチかな」
「ガーリックフレンチ?」
「ほら、あそこ。……もっと左」
「ハズレたね」
「………」
「この人、どれ買うと思う?」
「ん~。カレーパンかな」
「そう?」
「少年はカレーパン好きだから」
「あ」
「ほらね」
その後も、パン当てクイズを楽しみましたが、
キリがありませんので、
適当なところで切り上げ、
最後の難関の階段を上りました。
散歩に出るときは、
少しはおカネを持って出ようと思った休日でした。

・夏惜しみそぞろ歩きのウインドウ  野衾