マハーバーラタ

 

 ブルーベリーより効く目には青葉かな

山際素男編訳『マハーバーラタ』(三一書房)の刊行にあわせ、
出るたびに買っていたものの、
文字通りの積読になってしまい、
本棚の場所塞ぎでしたが、
一念発起しやっと読み始めました。
ところが戦闘シーンがやたらに長く、
クル軍とパーンドゥ軍の他部族を巻き込んでの
十八日間の戦さを描くのに、
全九巻のうち五巻を費やしています。
それってどうなのよ。
いま六巻目で、
戦さがようやく終りホッとしました。
本筋の物語とは関係ありませんが、
何度も出てくる表現で、
相手に対する親密さや愛情を表現するのに、
「頭を嗅いで」という言葉があります。
なにやら獣めいています。
最初見たとき、
なんだこれはと思いましたが、
たびたび出てきますから、
インドにはそういう風習があったのかもしれません。
(ひょっとして、いまもどこかで行われていたりして)
いろんな愛情の示し方があるものです。
それから、
これも物語とは関係ありませんが、
比喩で「心のように速く」という表現がよく出てきます。
これも古代人のものの捉え方が偲ばれて、
面白いと思います。

 目をつむり切通し越ゆ青葉かな  野衾