思い出の本

 

 緑さす俺の名前を菊名てか

いただいた図書カードが残っていましたから、
休日出勤の仕事が一区切りついて、
いい気分で家へ帰る途中、
久しぶりに横浜ルミネ五階にある有隣堂に向かいました。
マルカム・ラウリーの『火山の下』が
新訳で出ていましたので、さっそく購入。
わたしはこの本を、
長田弘さんの『読書百遍』で知りました。
キラキラするような本を
長田さんが紹介してくれているのですが、
どれも読みたくなるような書き方で、
わたしは『読書百遍』の巻末のリストに
鉛筆で○を付けながら読んだ記憶があります。
『火山の下』はその中の一冊でした。
かつては『活火山の下』と訳され、
長田さんも、
その日本語タイトルで紹介していたはずです。
当時、新刊では売ってなくて、
古本屋などを探しましたが入手できずにいたところ、
師匠・安原顯さんの書棚で見つけ、
借りて途中まで読み、
安原さんの感想を聞くこともなくお返ししました。
新訳で、
今度はちゃんと最後まで読もうと思います。
もう一冊買ったのは、
西岡兄妹の傑作『この世の終りへの旅』。
これは以前、
横浜駅のダイヤモンド地下街にある
有隣堂のマンガ本コーナーでたまたま目に付き、
ぱらぱらめくっていたら、面白そうで、
しかも、ひょいと見たら、
解説を、あの中条省平さんが書いているではありませんか!
というわけで、さっそく購入し、
すぐに読んだ本です。
ほかの西岡兄妹の本は今も持っているのに、
これだけが見当たらず、
欲しくなって、買いました。
思い出と合わせて買って、
図書カードの残が485円になりました。

 清水吸ふ田芹の甘さ苦さかな

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