人生くるり

 

 遊俳句早四年目の夏来たる

ふるさと井川町の先達で、
武塙三山(祐吉)という人がいます。
一八八九年八月十五日生まれ、一九六四年四月八日没。
上井河村村長、秋田魁新報社社長、
秋田市市長、秋田放送社長を歴任されました。
九十八歳で亡くなった祖父から、
わたしは三山先生の偉さをたびたび聞いていた
と思う(「思う」というのが情けない)
のですが、
記憶に残ったのは、かろうじて名前のみ、
洟垂らしのワラシとしては、
いつの時代の人? 江戸時代?
それとも、もっと昔?
などと思う程度で、
まさかわたしが小学校に上がるぐらいまで
生きておられたとは、
夢にも思いませんでした。
愚かなことです。
偉い人というのは、
しかも祖父から聞かされていたものですから、
ずっと昔の人だと勝手に思い込んでいました。
先日、
三山先生のご長男・林太郎さんの連絡先を知り、
三山先生のことに少しだけ触れさせていただいた拙著と
手紙をお送りしたところ、
昨日、ありがたいご返事をいただきました。
武塙林太郎さんは、
秋田大学の教授を長く務められた方ですが、
「秋田蘭画」研究の第一人者でもあります。
一九二六年生まれで、現在八十三歳。
マニ車がくるくる回るように、
わたしの人生が
くるり一回転したような気になりました。

 パナマ帽カバンに池波正太郎

100605_1702~0001