Archives : 3月, 2010

まるちゃん

 

 白楽や坂を上りて初桜

近所にまるちゃんと呼んだり、
まるこちゃんと呼んだりする人がいます。
ほんとの名前は別にあるのですが、
さくらももこの「ちびまる子ちゃん」に、
どこか似ていて、いつのまにか、
まるちゃん、まるこちゃんと呼ぶようになりました。
このごろは、本人もふつうに、「まるこね…」
なんて言っています。
まるちゃんは、作家の小川糸さんのファンで、
先だって、
紀伊国屋書店でひらかれたサイン会に出かけたそうです。
整理券は三番だったのに、一番と二番の人が現れず、
必然、まるちゃんが一番におどりでてしまいました。
サイン会など出たことのないまるちゃんです。
ドキドキドキドキドキドキドキドキ。
心臓が飛び出そうです。
小川さんが席に着き、いよいよ始まり。
まるちゃんは、なにをどう言っていいのか分かりません。
小川さんも、まるちゃんの困ったこころが分かってか、
まるちゃんのほうをチラと見ました。
なにか言わなければならない。
なにか。なにか…。
「『坂の上の雲』さっき見てました…」
????????????????????????????????
周りにいたスタッフ、小川さんがいっせいに笑いました。
わたしはこの話が大好きです。
天才的に面白い!!
考えてできることではありません。
スタッフと小川さんが笑ったのも、うなずけます。
列に並んでいる人たちも、
きっとホッとしたのじゃないでしょうか。
小川さんのサイン会に来て、
しかも列の先頭に並ぶほどのファンであるのに、
小川さんに関係していることを口にしないで、
「『坂の上の雲』さっき見てました…」
サイン会が始まる前に、書店の棚に並ぶ文庫本を手に取り
見ていたということでしょうか。
いずれにしても、よほど緊張していたのでしょう。
では、なぜ『坂の上の雲』だったのか。
小川さんが司馬遼太郎の『坂の上の雲』が好きなことを
知っていたからです。
まるちゃんは、
なんであんなことを口にしてしまったのかとも
思ったようですが、
ぼくは素晴らしいことだったと思います。
まるちゃんが小川さんの作品をいかに愛しているか、
その日会えることをどんなに楽しみに来たかということは、
それぞれの作品について
気の利いた感想を言ったりすることよりも、
苦労して作家になった当の小川さんには
痛いほど伝わったと思います。
小川さんも、サイン会の印象深いエピソードとして
ずっと忘れないでしょう。
まるちゃんは、
ひかりちゃん、りなちゃんのおかあさんです。

 ひとり来て意味を失せしや初桜

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籠城!?

 

 キャンパスに学生おらず初桜

下の写真をごらんください。
オカピこと岡田君の机上のゲラの山です。
こういう山があっちこっちに林立し、
編集者はまるで籠城する武将のよう。
だいたいが難しい顔をして、
黙々と仕事をしていますから。
しかし、今週に入り、
次つぎと本が出来てきましたので、
だんだんと山の高さが減り、
籠城する武将の顔が見えるようになりました。
それにつれ表情もゆるみ、
たまに笑いも聞かれるようになりました。
こういうことをメリハリというのでしょう。

 いさなとり七百年の初桜

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オスとメスで字が違う

 

 初桜季節外れの墓場かな

たとえば牛を漢字で書くと、オスでもメスでも牛ですが、
英語だと、オス牛はox、メス牛はcow。
飼わなくてもカウ、なんて。
冗談はさておき、
オスとメスで字が違うということは、
それだけ人間の生活に深くかかわり、
それぞれ意味がことなることの表れでもあるのでしょうか。
昨日、一昨日と神奈川大学でクジラに関する
国際シンポジウムがありました。
国際常民文化研究機構主催による
「海民・海域史からみた人類文化」というものです。
作家のC.W.ニコルさんの「勇魚の人々」、
総合地球環境学研究所の秋道智彌さんの
「鯨墓と鯨供養を再考する」など。
クジラがいかに日本文化の諸相に深くかかわっているかを
教えられた有意義な二日間でした。
さて、クジラといえば、ふつう「鯨」と書きますが、
これはとくにオスのクジラを指すそうです。
メスは「鯢」。
家に帰り、さっそく漢和辞典で調べてみましたが、
たしかにそう書いてあります。
知りませんでした。
もともと、オスのクジラを獲り、
メスのクジラは獲らなかったということでもあるのでしょうか。
泳いでいる姿で雌雄が判別できるとも思えないから、
そんなことはないか。分かりません。
どなたか分かる人がいたら教えてください。

 風立ちぬ瞼の裏の初桜

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秋田魁新報

 

 おぼろにて独りたたずむ太平山

映画監督の大嶋拓氏に同行し、
秋田魁新報社と秋田放送を訪ねてきました。
「魁」は、あまりなじみのない漢字ですが、
「さきがけ」と読みます。
他にさきがけて、の意味でしょうか。
秋田魁新報は、全国で四番目に歴史のある新聞です。
来月刊行される傑作戯曲『法隆寺』は、そもそも、
魁に掲載された拙著『出版は風まかせ』の書評を
大嶋監督がお読みくださったことが始まりでした。
『法隆寺』の著者は、
秋田出身の「異端の劇作家」青江舜二郎で、
大嶋監督は青江のご長男。
また、今月刊行される『物権法概説』は、昨年六月、
魁に掲載された拙稿「出版社は絶滅危惧種!?」を
ノースアジア大学の小泉健理事長が読んでくださったことが
きっかけですから、
魁さんには足を向けて寝られません。
今回、大嶋監督からお声を掛けていただいたおかげで、
秋田魁新報社文化部の方々と親しく話をすることができました。
いろいろな意味で、
今後につながっていく予感を強く感じた次第です。
ちなみに文化部の佐藤元氏は、わたしと高校の同期。
わたしE組、元氏F組、
となり同士でしたが、
当時は話す機会がなく、過ぎてしまいました。
三十四年たって初めて話をしたことになります。
また、
秋田放送でお目にかかった菅原実氏も高校の同期で、
わたしが陸上部でひーひー言って
グラウンドを走っていたとき、
若き菅原氏は、サッカー部のゴールキーパーとして
爽やかな汗を流していました。
走らなくても済むゴールキーパーをちら見し、
羨ましく思いながら、とにかく、
ひーひーひーひー言いながら走っていたことを思い出します。
縁は不思議です。ありがたいことです。

 寿司や寿司腹きりきりと春の宵

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春バージョン

 

 青山を仰ぎ春日の散歩かな

弊社ホームページのヘッダーの写真
「橋本照嵩のフォトストーリー」が春バージョンに
換わりました。
ひと目見て、ふわーと、春だなーと感じるものもあれば、
じっくり見ても、どうしてこれが春?と、
いぶかしく感じるものもあります。
どの写真がお好みでしょうか。
また、再読み込みのアイコンをクリックすると、
つぎつぎ写真が替わって、
それぞれ独立した写真であるにもかかわらず、
写真家の個性が反映され、
春の物語が醸し出されてくるようです。
どうぞ、お楽しみください。

 元さんを囲み春日の宴かな

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三浦衛(みうら・まもる) 春風社代表にして自慢大王&悪ノリ大王。体調のいいときは自らを天才と称し、不調の折はちりあくたにも劣るヤツとしょんぼり。

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三浦衛の本


『カメレオン』
 三人ときどき声にならぬ声を洩らし/とろけ とろけ 唾までとばし/クヂるとナメるとネヂるとチョす…(「鳶」) 自在に色を変え、不意に突き刺さる、軽妙なことばの戯れ。秋田方言満載の詩集。本文は金属活字による活版印刷。


『マハーヴァギナまたは巫山の夢』
 三平佐世夫は、千一夜の夢うつつで女と戯れ、印度に旅し、睾丸を抜かれ、鰐を飼い、横浜を彷徨う。言語の崖っぷちを綱渡りする、めくるめく冒険。本文活版印刷に美麗造本を施した平成の大奇書。


『父のふるさと』
 父の目に映じた故郷の風土、ひと、くらし、農事を、愛惜をこめ描きだす。本文は金属活字による活版印刷。「身と蓋函」に納める。


『出版は風まかせ』
 横浜の出版社「春風社」社長が本づくりと会社経営にまつわるエピソードを豊富におりまぜ、創業から10年を振り返る。