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 白浪を立てて舟行く賢島

きのうは、昼に印刷所の担当が
来社することになっていましたので、
その前に昼食をとっておこうというわけで、
早々に近くの交差点角にあるお店に入りました。
11時35分。
きょうは一番だろうと思いきや、
なんと、すでに五人もいるではありませんか。
カウンターにいつもの男性二人。
テーブル席に女性三人。
したがってわたしは六番目。
女性三人がいぶかしげにわたしを見ました。
驚きと不安の表情が顔に貼り付いていたかもしれません。
五人の前にはまだトレイが置かれていません。
担当者が来るまでに会社に戻れるだろうか。
だんだん心配になってきました。
やっとランチが出てきて、
わたしはもう、わき目も振らずに、
一心不乱に、ご飯と味噌汁とイシモチの塩焼きと
鶏カツとサラダとホウレン草とシラスのおひたしと
タクアンと菜っ葉の漬物とおまけにデザートのイチゴ三個を平らげ、
コーヒーは断り、
お代を払って威勢よくごちそう様でしたーと言い、
速歩から小走りに転じてビルまで戻り、
エレベーターなど文明の利器に頼ることをせず、
脇の階段を一段飛ばしでぐるりぐるりと三階まで。
は~。は~。は~。は~。は~。は~。
ケータイを開いてみたら、12時07分。
ドアを開ける。
静かに弁当を食べているイシバシの姿が眼に入る。
よし。担当はまだ来ていない。
ふ~。
こうして戦々恐々の昼食は終りを告げ、
わたしは万全の態勢で席に着き、
運慶の金剛力士像よろしく、口をへの字に曲げ、
鼻息も荒く今か今かと担当の来社を待っているのでありました。
終り。

 賢島おぼろに島の停泊す

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