対談

 民俗学の泰斗・谷川健一さんと新宿中村屋5階の個室にて対談。2時間に及ぶ。『新井奥邃著作集』別巻の月報に収録予定。
 こちらから事前にお送りしてある本と資料を谷川さんがテーブルに載せられたのを目にし、いささか緊張もしたが、もともと谷川さんは編集者でもあられたわけだから、胸を借りるつもりで質問に答え、谷川さんも奥邃への関心を次々開陳してくださり、途中笑いも入って、自分で言うのもおかしいけれど、なかなかいい対談になったのではないかと思う。
 帰国後の奥邃の暮らしぶりはシンプルに見えるけれども、それは形がシンプルなのであって、奥邃自身は相当複雑な人物だったと思いますよ。人間は複雑ですよ。天国も見れば地獄も見るのが人間ですから…。谷川さんの言葉が耳に残った。