謙虚さ

 四月に入り、これまでアルバイトをしてきた二人は正社員に、また、過日募集をかけた編集要員もそろったので、小社の今後の方針について思うところを語り、説明した。要するに、編集主導型で来た社の体質を営業主導型にもっていくということ。会社を存続させていくためには、一にも二にも営業だ。いい本を作り並べておけば黙っていても売れる時代(そんなふうに見えるだけで、見えない苦労や工夫があったればこそなのかもしれないが)はとっくに過ぎた。だからと言って、粗悪な本を作りガンガン売るという意味ではない。いい本を作ることはあたりまえ、倦まず弛まずの木目細かい日々の営業が大事ということだ。そういうことでは、編集者も営業のセンスが問われるだろう。物を売ることの難しさ、仕事を取ってくることの難しさを誰もが謙虚に考え工夫を重ねなければならない。