坂の上から

 

だいぶ、というか、そうとう、いや、かなり暑くなってきました。
帰宅時、家にたどり着くには、
最後の難関の階段と坂を上らなければならず、
年とともに、
なんでこんな場所を選んでしまったんだろうの感慨がもたげてしまうことも、
ないではないのですが、
坂の上から、
夕日に照らされた東側の丘、さらにその上の空を眺めると、
ああ、
きょうも一日が無事に終った、
どうもどうも。
で。
一分もないぐらい
(たまにおそらく一分を超えて)
だとは思いますが、
とても気持ちが高揚し、逆に、こころが落ち着く気がします。
「わたし」の感情に縛られず、逆らわず、
やり過ごす。
脳内のことまでは分かりません。
さて、
コーナーを曲がったところで、
腰の曲がったおばあちゃんがゆっくりと腰を伸ばしています。
体操かな。
どうも。
は。どうも。
富士山が見える辺りの空は深紅に染められ。
ほー、うぐいす。
どうもどうもどうも。

 

・いつなれや逢ふ日の庭の蟬のこゑ  野衾