しにゃ

 

よく行くコンビニで、お惣菜の棚を見たらイカの塩辛が目にとまり、
ひょいと手に取り、買い物かごへ。
夜まで待てず、
昼食のおかずとしてさっそく封を切りご飯の上へ。
やわらかく味もいいのですが、
なんとも、しにゃ!
家人も一緒でしたから、
「しにゃ、ってことば分かる?」
「分からん」
「分からないでしょ。これ、いいことばだと思うんだよね。
あえて説明すると、
嚙んでも嚙んでも嚙み切れない状態
のことなんだけど、
仮に、
嚙んでも嚙んでも嚙み切れない、と言ったとすれば、
意味は分かるけど、
音としては、
歯切れがよすぎて意味と合っていない気がするんだよね」
方言の良さは、こういうところにある。
音と意味がぴたりと一致する。
ちなみに、
たとえば相撲取りが土俵際で踏ん張り、
からだを柔軟に保ちつつ、負けそうでいてなかなか負けない場合、
秋田では「しなづれ」
と言いますが、
これも、「しにゃ」に近く、
撓う《しなう》+強い、という意味でしょう。

 

・蚊帳の腹足蹴に馬の夢を見る  野衾