私の本

 

 散髪の頭に巻きしマフラかな

千葉県松戸市在住の松菱多津男さん(80)が編纂した
『ガリヴァー旅行記蔵書票集』が、
読売新聞千葉版に取り上げられました。
蔵書票は、一般的にはあまりなじみがありませんが、
熱烈なファンが多くあり、
「紙の宝石」と呼ばれているものです。
記事の詳しい内容は、こちらをご覧ください。
本がまだ貴重だった時代に、
「私の本」であることの証に、
本の所有者が版画作家に十枚、二十枚と、
小さな版画=蔵書票をたのみ、
それを、いのちの次(奥さんや、親や子どもや恋人の次)
に大事な本の見返しや扉に貼り付けていました。
新聞に紹介されたおかげで、
昨日、電話での問い合わせが十数件ありました。
蔵書票に関心があるということは、
とりもなおさず、電子ブックでない、
紙の本に関心があるということです。
機械に蔵書票を貼るのは、ちょっと変ですから。
記事には、
松菱さんの二十年来の夢を実現させ、
とありますが、元をただせば、
原爆を落とされた広島を訪ねていった十七歳のときに、
その種は播かれていたといっても過言ではありません。
人生の深い味わいを、
『ガリヴァー旅行記蔵書票集』は湛えていますが、
春風社にとっても、
今後の行く道を豊かに示してくれる
ありがたい出版物になりました。

 おむすびの坊主頭がマスクかな

100202_1225~0001