書棚

 

 ひかり差す百人一首の冬の宵

三年前に二千冊の本を売って、
部屋の中がだいぶすっきりしましたが、
それでも、大きな書棚がまだ二本あります。
そのうちの一本は奥行きがあり、奥に一列、
手前に一列というように本を並べていますから、
わたしにしてみれば、けっこうな数で、
たった二本の書棚ですが、
すべての本を記憶しているわけではありません。
読んだ本と、
まだ読んでいない本が半々ぐらいですかね。
憶えていないので、
思い出したように、ときどき書棚の前に立っては、
順番に背文字を眺めていきます。
上の段から順々にゆっくり眺め、下まで来たら、
また上の段に戻って、やり直します。
自分の書棚なのに、
いろいろなことに気づかされます。
今は、バルザックとウィリアム・ブレイクに
興味が移っているな…。
そうすると、二人に関連する書目が図となり、
他の本たちが背景に退きます。
ふだん気づかぬ無意識の所在を知るために、
ときどき書棚を眺めているようなのです。

 苺大福コーヒー豆の春近し

091206_2020~0001