そうそうそうそうそう

 あのねママ木はお母さんつくしの子
 会社の帰り、電車が保土ヶ谷駅に到着し、ワッと人が降りて階段に向う。これが嫌だ。じょうごに米粒が吸いこまれていくような具合で息苦しい。なるべく、大勢の人をやり過ごし、少しまばらになってから歩き出すようにしている。
 階段に足をかけると、上から生きのよい女子高生だろうか、ふたり、タッタッタッとステップも軽く下りてきた。前の娘は後ろを振り向かずに後ろの娘に話しかけながら。前の娘に足並みを合わせるように下りてくる後ろの娘が、そうそうそうそうそう、と言った。とてもリズミカルで、ちょっと音楽みたいで、わたしは思わず、階段の途中で足を止め、指を数えていた。そうそうそうそうそう。5回か。3回ぐらいかと思ったのだが、5回も繰り返していたのか。そうか、5回もか。
 先生怒ると道ができるよ春の午後

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