丘登り滾るものありふきのとう
このごろサム・クックの歌をよく聴いている。
スティーヴィー・ワンダーやオーティス・レディングのルーツを辿っていくとサム・クックに行き着く。
その彼がソウル・スターラーズと共にスペシャルティ・レーベルに録音した3枚組のものを先日購入し、さっそく聴いた。
若き日のみずみずしい声が記録されているのはもちろん、グループのほかのボーカリストと交替で歌っている歌を聴くと、この非凡な歌手の声がいかに違っているかがはっきりと聴きとれる。
上手い下手というレベルを超えて、若く荒削りであっても、その声は天井へと向う。ほかのメンバーのほうが歌としては、ひょっとしたら上手いのかもしれない。しかし、そんなこととは別に、歌そのものの質と方向性がまったく異なる。天才とよびたくなる所以だ。
わたしがこれまで聴いたなかで、もう1人こういう質の歌い手がいる。カッワーリのヌスラット・ファテ・アリ・ハーンだ。
ふきのとうお前は寂しくないのかい