富士山を救え

 グラウンドワーク三島の渡辺さん来社。「富士山を世界遺産へ」という運動がにわかに高まっている中、渡辺さんが『富士山を救え』(仮)の題で本を書くことになった。
 なぜ渡辺さんが、ということについて若干説明すると、渡辺さんは自分の住んでいる静岡県三島の町を、仲間と共に二十年かけて美しくしてきた。というよりも、もともとあった三島の美しさを取り戻す運動を展開してきた。その結果、「水の都」と詠われた三島はみごとによみがえった。なぜ三島が水の都かといえば、富士山に降った雨が地下にもぐり、膨大な時間をかけて大地を潤し、それが三島の町のあちこちに湧き出る。水の都と呼ばれるゆえんだ。
 三島の町の美しさを取り戻すことには成功した。ところで、恩恵をこうむっている本家の富士山そのものはどうなのだ。ゴミが捨てられ、アンモニア臭のする汚れた富士。日本に冠たる富士山がこのままでいいはずはない。三島の次は富士山だ! というのは、だから、地下水でつながっているような、いわばごく自然に出てきた運動で、その著者として渡辺さんは最も相応しい。足下を見据えた運動がじわりじわりと広がる。その展開の仕方が、梁山泊に集う兵どものようであって、話を聞いいているだけでワクワクしてくる。
 さて来年は富士山の年になる。グラウンドワークとは、そも何ぞ、という方はこちらを。