納豆食え、って?

 天気予報とかニュースを見るのに、朝、起きてすぐテレビをつけることが多いのだが、今どきは「今日の占い」みたいなことを、どのチャンネルでもやっていて、何を根拠にベスト12を割り出すのか、ほんと不思議に思う。
 そんでもって、今日のいて座(わたし、いて座)の占いなんか、12コのうち最低で、対策として「納豆を食べよ!」とか言っていた。星座占いって、ヨーロッパ発祥のものと違うの? なんで納豆なの、ったくよ。
 なんてね。ま、最低だったから文句言ってるだけで、これが、「今日のナンバー・ワン」なんて言われると、だはははは… ざまあ見ろ、強運だってことだあね、となるんだから、偉そうなことは言えない。
 それはともかく、昨日は『インドを食べる』の著者にして、『インド・まるごと多聞典』にも登場するインド自由旅行の草分け的存在・浅野哲哉氏を社に招き、たがおと三人『インド大感情事典』の資料整理に夜まで掛かった。
 1977年に始まった浅野さんのインド行は延べで916日、その間、描いたスケッチ約5000枚。500頁の本にしたら全10巻のボリュームになるのだから驚く。これを絞りに絞って、1冊の本にしようという大プロジェクト。
 線(太くしなやかで柔らかい)と形とライブ感、この三つを演出したい。コンセプトは電話帳、参加型にして発見の喜びを封じ込めたい(とか、そういう、いかめしい言い方じゃなく、余白のところに気楽に落書きしたくなるような、そんな感じで)。
 スケッチは圧倒的に人物画が多い。スケッチすることが楽しいだけでなく、コミュニケーションの手段ともなり、モデルになってくれたインド人は、浅野さんが描くスケッチが自分に似ていると、その絵の横にサインしてくれ、似てないと絶対にサインしてくれない、絵を通じての付き合いの中で、浅野さんは、日本では味わえない開放感を味わったのだという。
 また、浅野さんのスケッチには、よく牛が出てくる。前世は牛だったと言うから、改めて浅野さんの顔を見たら、骨格なんかが、たしかにインドの牛に似てないこともない。縄文時代にインドから日本に渡ってきた人がいたとしたら、その人の血が自分に流れているような気がするんです、とも。
 浅野さんの人物画、村、界隈のスケッチは、記録を超え、ひとの感情を超え、大感情と呼ぶしかない領域に達している。