第一次世界大戦のこと

 

『赤毛のアン』シリーズを読みながらいろいろ考えさせられましたが、
さいしょの世界戦争について、あらためて考えることになりました。
じぶんのことながら馬鹿だなぁと思ったのは、
はじめての総力戦である世界戦争が起きたとき、
それを第一次とはだれも呼んでいなかった、
ということ。
最初で最後と思っていたにもかかわらず、二度目が起きてしまったので、
ふりかえってみて、まえのが第一次。そうか。
そうだよね。

 

シグマンド・ノイマンが指摘するように、
ナチスの中心的な幹部たちはほぼ、1890年から1900年の間に生まれており
(ヒトラーは1889年生まれ)、戦争が決定的な影響を与えた世代に属していた。
1919年9月ヒトラーがナチス党(国民社会主義ドイツ労働者党。NSDAP。
マーザーによればこの名称は2月20日以降に使われ始める)
の前身ドイツ労働者党に入党する前には、党員は、労働者と手工業者とが多かった。
ヒトラーの入党以後は、とくに復員兵氏が目立っていた。
現役兵士の数は少なかったが、
この少数の現役兵士たちもヒトラーの強力な支持者であった。
ヒトラーの熱烈な後援者は、
いわゆる「塹壕共同体」「塹壕の友愛」の体験者であった。
(桜井哲夫『世界戦争の世紀 20世紀知識人群像』平凡社、2019年、pp.185-186)

 

桜井哲夫さんのこの本は800ページを超える浩瀚なもので、
『戦争の世紀』(1999)『戦間期の思想家たち』(2004)
『占領下パリの思想家たち』(2007)をベースにしつつも、
その後の多くの研究をふまえ、
大幅に書き直したものであると「あとがき」に記されています。
二度にわたる世界戦争のかんけいについて、教えられることが多々ありましたが、
この本を読むときに、
『赤毛のアン』シリーズで描かれる
アンの三人の息子たちの従軍とその後をかさね合わせることになりました。
モンゴメリさんは、
アンの子どもたちについても、
誕生からはじめて、ていねいに物語をつむいでいますから、
よけいにこころを揺さぶられました。

 

・鍼灸院出でて見上ぐる雲の峰  野衾