まいにち目にしないことのないカラス、声をきかない日とてないカラスですが、
あまりに身近にいるせいか、その生態となると、ほとんど知りません。
なので、
松原始さんの『カラスの教科書』を読むと、
ほんとかなー? そんなことある?
と、つい疑ってしまいたくなる記述にたびたび出くわします。
カラスはよく「遊ぶ」。他の鳥も遊ぶのかもしれないが、
人間の目から見てカラスほど分かりやすく遊ぶ鳥は珍しいように思う。
先の定義を踏まえて言えば、
実生活から離れて「楽しむためだけの行動を作り出す」事ができるのかもしれない。
滑り台にしゃがみ込んで滑った、雪の上を背中で滑った、
といった観察はいくつもある。
しかもわざわざ歩いて登っては滑り降りる例が多い。
意図的にではなく滑り落ちてしまった例もあるだろうが、ワザとやってんじゃないの?
という例もしばしばある。
風乗りと言われる、風に向かって翼を広げ、フワッと浮き上がる行動も見られる。
電線からぶら下がったり、
鉄棒のようにグルンと回転して戻ったりする行動もある。
風乗りは飛行訓練とも言えるが、
ぶら下がって一回転する行動を「将来役に立つ」と主張するのは
ちょっと難しいだろう。
「そうそう、枝から落ちそうになった時便利やからね……って何でやねん!
飛んだらええやろ!」とノリツッコミを入れたくなる。
(松原始『カラスの教科書』雷鳥社、2013年、p.201)
ちゃんと裏付けをもった記述のようなので、そうですか、となるわけですけど、
それにしても、「電線からぶら下が」って遊んでいるカラスの図
を想像するのはたのしい。
202ページに著者のイラストがあります。
・夏草や昔そこまで波の音 野衾