わたしの姓は三浦ですが、祖母の旧姓は草階(くさかい)といいました。
祖母の兄と弟も結婚して近所に住んでいて、
ふたりともわたしの祖父と仲がよかった。
よくわが家を訪ねてきては、お茶を飲んでいた。
兄弟にしてみれば、
すぐ近くに妹(姉)がいて、暮らしぶりが分かるし安心だったのではないかと思います。
祖母の兄の孫であるIくんとわたしは、
五つか六つ歳が離れていたと思いますが、
Iくんとよく遊びました。
遊んだ、というより、遊んでもらった、というべきかもしれません。
Iくんは、とてもおだやかな人で、
わたしはいつもIくんにくっついて歩き、
Iくんの家にもよく遊びに行きました。すぐ近くだったし。
Iくんが小学生で、
わたしが未就学の子どもだったころ、
学校がひけて、Iくんが帰ってくるのをこころ待ちにしていました。
帰ってきたらなにして遊ぼう。
それを考えること自体がたのしかった。
忘れられないのは、てきとうな長さの棒を二本さがし、
ズボンのベルトに差したこと。
剣士のつもりでした。
チャンバラごっこをするつもりだったのでしょうか。
その辺の記憶はあいまいなのに、
ズボンのベルトに棒二本を差したとき、
じぶんがいっぱしの剣士になったような高揚した気分に浸ったことは、
おぼえています。
じっさいにチャンバラごっこをしたかどうかは
おぼえていない。
記憶に弟がでてこないところからすると、
弟はそのころ、両親の出かせぎに伴われ家を離れていたのかもしれない。
とまれ、以来、Iくんとは何十年も会っていません。
・密やかに風に揺らるる四葩かな 野衾