小学校の五年と六年は、小武海市蔵(こぶかい いちぞう)先生が担任でした。
二年れんぞくで受けもってもらったのは、はじめて。
教室でべんきょうもし、いろいろ教わったけれど、
小武海先生とはいっしょに遊んだ記憶のほうが圧倒的に多い。
まず、すもう。
先生は、先生たちのなかでも大柄なほうで、おなかもたっぷりしていたので、
思いっきりぶつかっていっても、
やわらかいふとんにダイブするみたいで気持ちよかった。
つぎつぎ子どもたちが先生にぶつかっていき、
つぎつぎ投げとばされる。先生は手加減しない。
でも、
投げられて痛がる子どもがいなかったことを考えると、
そこは微妙に手加減していたのかもしれません。
体育館に笑顔と笑いが満ちあふれ、
きらきらきらきらしていたな。
晴れた日には外の運動場でソフトボール。
先生もどちらかのチームに入って、打ったり守ったり。
先生は、大人げないほど、ちゃんと打ち、
ちゃんと守る。
忘れもしません。
いちど、打ったボールが勢いよく飛んで飛んで体育館の屋根の下のガラスを直撃。
ありゃ~~!!
子どもたち呆然。あのとき先生どうしてたかな。
あ然とした感じでもなかった。笑いながらダイヤモンドを一周し、
ホームベースに戻ってきた。
校長先生に叱られたかもしれない。
でも、いなかの小学校のこととて、校長先生に報告し謝罪しても、
ふたりで笑い合っただけかもしれません。
・夏草や風を起こして崖の上 野衾