ルーシー・モード・モンゴメリさんの『赤毛のアン』をはじめとするシリーズを、
へんけんたっぷりに、女の子が読む本かな、と、
なんとなく思ってきましたが、
村岡花子さんにかんする伝記を読んだらたいそうおもしろかったので、
そのながれで、
村岡さん訳の新潮文庫を買って手元に置いていました。
読もうと思っている本がいろいろあるので、
とりあえずシリーズさいしょの本『赤毛のアン』と、
あと一、二冊読んでみようかな、
と思い五月の連休まえに読み始めたのですが、
『赤毛のアン』を読んだら不覚にも目がしらを熱くするページがあり、
こういう世界であったか、
無知も甚だしかったとおのれのおろかさを反省し、
連休中とその後の数日をついやし、
村岡花子さん訳の新潮文庫10冊と、
同じく新潮文庫に入っている村岡美枝さん訳の『アンの想い出の日々』上下2冊、
あわせて12冊を読み終えました。
美枝さんは、
村岡花子さんの義理の娘(実の姪)みどりさんの娘ですから、
義理の孫、ということになります。
『アンの想い出の日々』(原題:The Blythes Are Quoted)は、
モンゴメリさんの遺作で、
モンゴメリさんが亡くなった1942年4月24日に、
だれかの手によって出版社にとどけられたのだそうです。
その完全版がモンゴメリさんのふるさとカナダで2009年に刊行され、
2012年に日本語訳が刊行されました。
というような経緯でありますが、
シリーズをとおして読みながら、
これはモンゴメリさんの『戦争と平和』なのだと感じました。
トルストイさんのは19世紀のナポレオン戦争が背景ですが、
モンゴメリさんのは20世紀の第一次世界大戦が背景となっており、
アンの息子は三人とも従軍することになります。
第一次世界大戦というのがなんだったのか、
アンとその夫ギルバートをはじめ、
村のひとびとが戦争をどうとらえていたのか、
しみじみ考えさせられました。
『赤毛のアン』というと、
古書店の店先にあるワゴンに並べられた100円コーナーに何冊か置かれていたり、
わがふるさとのJRの駅の待合室に、
どなたかが寄贈された本のなかにもたしかあった(と思います)りして、
表紙カバーの背が日焼けしているのを見、
なんとなく気になっていたのも、
読もうとしたことの遠因だったかもしれません。
本づくりをなりわいにしていますので、
日焼けした本の中身を知りたくなりました。
・惜しむごと梅雨入りまへの光浴ぶ 野衾