ゲーテさんの『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』が終りましたので、
ひきつづき『ウィルヘルム・マイステルの遍歴時代』を。
岩波文庫で、それぞれ三冊ずつ。
『修業時代』が「ヴィルヘルム・マイスター」なのに、
『遍歴時代』が「ウィルヘルム・マイステル」なのは、
訳者がちがうからでしょうか。
『修業時代』は山崎章甫(やまさきしょうほ)さん訳。
『遍歴時代』は関泰佑(せきたいすけ)さん訳。
おなじ岩波文庫でも、
山崎さん訳のものは『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』
となっています。
さて、
ハインリヒ・モルフさんの『ペスタロッチー傳』を読んだとき、
ゲーテさんの名前が幾度か登場し、
ゲーテさんがペスタロッチさんの教育と学校に、
ふかい関心を示していたことを知り、
へ~、そうなんだ、
と印象にのこりました。
その後、
清水書院から出ている『ペスタロッチ』(長尾十三二・福田弘[共著])
を読みましたら、
「ゲーテは、その作品『ウィルヘルム・マイスター』の中で、
スイスにおけるペスタロッチの、いわば同業者、
フィリップ=フォン=フェレンベルクの経営していたヴィルホーフ学園を、
理想の「教育郷」のモデルとして取り上げた。」(P.12)
と書かれてい、
またまた、へ~、そうなんだ。
と、脳裏に刻まれることになりました。
で、
関泰佑さん訳の岩波文庫『ウィルヘルム・マイステルの遍歴時代』
を読むと、
第二巻の第一章は主人公ウィルヘルムと息子フェーリクスの父子が、
ペスタロッチさんの「教育州」を訪れたいわば見聞記、
ともいえる内容。
ちょうど、
若き日の大江健三郎さんが斎藤喜博校長の島小学校を訪れて書いた
ルポルタージュにも対比できるか、
と思いました。
詩人・作家の学校訪問の記は、
教育関係者とはちがう視点があるようで、
それだから、
よけいおもしろく感じます。
・庭先の老大木より蓑虫 野衾