韓国メディアによる取材

十五世紀に作られたハングルによる釈迦伝であり、
韓国の古典文学としても名高い『釈譜詳節』の
日本語訳(三巻予定しているうちの今回は上巻)を
今月刊行したところ、
韓国メディアがさっそく
訳者の河瀬幸夫さんを取材してくれました。
ありがたいことです。
ハングルを読める方は、こちらでどうぞ。

世界日報の記事
メディアブッダの記事

河瀬さんに、二つの記事を翻訳してもらいましたので、
日本語で読みたい方はこちらです。

世界日報の記事(日本語訳)
メディアブッダの記事(日本語訳)

人の話を聞いてまとめるというのも、
広い意味の翻訳ですから、
やはりむずかしく、
河瀬さんが話していないことまで
文字化している箇所もいくつかあるようです。
いずれにしても、
この度の仕事を偉業とし
衝撃をもって受け留めたであろうことは、
想像に難くありません。
中巻、下巻も、心してかかろうと思います。

アンジェラ・アキとフクロウ

 

 新緑や我も我もと親知らず

アンジェラ・アキという歌手がいます。
髪の毛が長く、黒縁メガネをかけています。
それぐらいの知識しかありませんが、
紅白歌合戦にも出ていたし、有名でしょう。
先日、朝、ぽけーっと
横須賀線の電車に乗っていたときのことです。
ハッと眼をみはりました。
髪の毛が長く、黒縁メガネをかけ、しかも、わし鼻。
あ! アンジェラ・アキだ!
よーっく見ました。
ちがっていました。
でも、実によく似ています。
きっと周りからも言われているのでしょう。
テレビで、○○似のひと集合、
みたいな番組がありますが、
そういうのに出たら、かなりいいところまでいくはず。
わたしが知らないだけで、
出たことがあるかもしれません。
自分でも、アンジェラ・アキに似ていると思って意識し、
こまかいパーツを似せているのじゃないでしょうか。
きっと、アンジェラ・アキが好きなのでしょう。
突然ですが、
わたしはフクロウに似ていると言われることがあります。
小さい頃ろからフクロウが好きなので、
うれしくないこともありません。
ちょっぴりうれしい。
でも、
どこがどんなふうに
フクロウに似ているかわかりませんから、
意識して、さらにフクロウに似せようと
努力することはできません。
それはそれでいいと思っています。

 カニチャーハンカニたっぷりの春日かな

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法隆寺

 

 春寒の雨首筋にゾロリかな

今月末、秋田が生んだ「異端の劇作家」青江舜二郎の
傑作戯曲「法隆寺」を刊行します。
青江のご子息で映画監督の大嶋拓さんとご縁ができ、
とんとん拍子に話がすすんで、
実現の運びとなりました。
「秋田さきがけ新報」に掲載された
『出版は風まかせ』の書評を監督が読んでくださったことが、
そもそものご縁の始まりでした。
「法隆寺」は、
聖徳太子は毒殺されたのだったかもしれないという
ミステリー仕立ての戯曲で、青江の代表作です。
しかも単行本化は今回が初めて。
これがスコブル面白い! ワクワクします。
戯曲の王道! 登場人物たちが生きて動いています。
ちゃらっと軽く読める作品ではありませんが、
腰を据えて読むと、深い味わいがあり、
静かな勇気をもらえることに気づくでしょう。
一昨日「秋田さきがけ新報」に
「法隆寺」に関する拙稿が掲載されました。
コレです。
「法隆寺」の刊行にあたり、
戦前の秋田の土崎を舞台にした「河口」も併録しています。
こちらも青江の代表作。
方言が多く出てきて、
秋田の人以外は最初戸惑うかもしれませんが、
話の流れから、
ははぁ~、こんな意味なんだろうなと、
類推しながら読めるはずです。
わたしはまだ実物を見たことがありませんが、
電子書籍でチャチャッと読むのでなく、
休日、紙の本でじっくりこういうのを読むのも
いいのではないでしょうか。

 ザクザクとキムチ頬張る春の宵

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保温力

 

 新緑や青空近し雨上がる

汗を掻くほど暑い日があり、
そうか、もう四月も半ばか、
と思ってTシャツにハイネックの薄手のセーター
といういでたちで出かけたら、
まだだれもそんな格好で歩いている人はなく、
そう思ったら、
なんだかブルッと寒気がしました。
いつものマフラーを巻いて出たので、
我慢できないほどではありませんでしたが、
マフラーがなかったら、
とても一日もたなかったでしょう。
マフラーを首に巻いているだけで、
一枚多く重ね着しているぐらいの保温力です。
着脱も楽だし。離せません。

 新緑を拝む我れに何もなし

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財布

 

 花冷えの雨をくぐりて出社かな

先日、小椋佳さんのコンサートに行ったことは
すでにここに書きましたが、
コンサートのテーマは、
最近出したCDのタイトルにちなみ、「邂逅」でした。
かいこうと読みます。
偶然の出会いとか、めぐり合いという意味ですが、
ふつう好い意味でつかわれるけれど、
偶然の出会いは、いいものばかりとは限らない、
なんて前置きしつつ、
小椋さん、これまでの人生で、
四度ほどカバンを盗まれたことを話してくれました。
四度全部についてではなく、いちばん最近のもの。
新幹線で盗られたそうです。
「人を見る目があるんでしょうねえ」などと、
小椋さん、とぼけたことをおっしゃっていました。
そうおっしゃったあとで歌った歌が
「めまい」だったのには笑えました。
ところで、わたし自身のことですが、
二日つづけて財布を、
盗られたのではなく、忘れた夢を見ました。
わたしは現実にもよく忘れ物をします。
さて、どんな夢かというと…
インドの山の上で楽しいひと時を過ごしていたわたしは、
下で山形の工藤先生を待たせていることを思い出し、
大急ぎで山を駆け下りました。
先生お待たせしました! と近寄ったのですが、
頂上の店に財布を忘れたことに気がつき、
それには日本へ帰るための切符も入っていたので、
先生に訳を話すのもそこそこに、
急いで取って返しました。
ところが、
下りるときは気づかなかったのですが、
坂の途中、いくつもの分岐点があり、
どちらの道を上ったら
頂上にたどり着けるのかがさっぱり分かりません。
間違えた道をえらび、
崖の上から大きな石が
頭上をかすめて落ちていったりします。
また分かれ道のところまで戻らなければなりません。
行ったり来たりを繰り返し、
途方にくれてしまいました。
けさ眼が覚めて、まず一番に、
カバンの中の財布を確かめました。
ちゃんと、ありました。

 とぼとぼと歩く男を山笑ふ

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江戸のミステリー

 

 うすくれなひ声なき声の山笑ふ

法政大学の田中優子教授から教えていただき、
神田明神内「明神会館」で開催される明神塾(巻の十三)
「江戸のミステリー」(源内と直武~江戸と秋田)の
一回目を受講してきました。
講師は田中優子さん。
おもしろかったー!!
謎が謎呼ぶ殺人事件! ほんとに。
あの天才・平賀源内と秋田蘭画の創始者・小田野直武が
恋人同士であったとは!
知らなかったー。
六回シリーズで源内事件の謎が解かれたとき、
これからの日本が見えてくるという、
壮大な物語の始まり始まりでした。
また、秋田からの風が吹いてきました。

 花の雨すそを濡らして止みにけり

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小椋佳コンサート

 

 ゆらりゆら三島梅花藻やまわらふ

に行ってまいりました。
神奈川県民ホールは超満員。
小椋さん、六十六歳だそうです。
休憩を十分挟みましたが、
正味三時間、
ゆたかな小椋さんの声と歌とトークを
たっぷり味わいました。
客層は、わたしはたぶん若いほうで、
小椋さんと同年代の人が多かったでしょう。
歌の最中、隣りのおじさんをふと見ると、
眼を閉じて眠っているようでしたが、
歌が終ると、ハンカチを出し、
両目を拭きました。
思い出の歌だったのかもしれません。
♪ 真っ白な陶磁器を眺めては飽きもせず…
で始まる「白い一日」という歌です。
その歌に関するわたしの思い出といえば、
なんで真っ白な掃除機を眺めて飽きないんだ?
と、疑問に思いながら聴いていたことです。
ですから、
泣くどころか、笑ってしまいます。

 桜散るコーヒー片手のバルザック

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