千日間近

 腹黒を雪ぐ術なし百足虫かな
朝晩つづけている気功ですが、
今月二十日で九百日、十月末に練功千日を迎えます。
数字を気にしているようでは、まだまだですが、
シロウトが何か事を始めるのに、
数字は馬鹿にできません。
座禅や瞑想にも、数息観という修養の方法があります。
中国では、十年、二十年気功をつづけるのはごく普通。
三十年、四十年とつづけている人もいるそうです。
そういう人は、どこがどういう風に違うかと訊かれても、
はっきりこうだと指摘することはできないそうですが、
でも、やっぱりどこか違うのだそうです。
寝かせたワインみたいなものでしょうか。
これからどれくらい生きられるか分かりませんが、
こころと体の練成のために、
気張らずに、ながくやっていきたいと思います。
今月は、春風社から二冊目となる
禅密気功師・朱剛先生の『気功瞑想でホッとする』
が刊行されます。気功と瞑想に関心のある方は、
ぜひ手にとって見てください。
今日と明日は、故郷秋田に出張です。
 雲流る汗をかきかきインドカリ

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うれしなみだ

 安眠を喰らひガシャガシャ百足虫かな
先週金曜日、会社帰りに
ケータイ電話で秋田の実家に電話した。母が出た。
こっちの用件を聞く前に、母は、
うれしい知らせがあると言った。
弊社十周年パーティーにご招待しお運びくださった
我がふるさと井川町の齋藤正寧町長が
町の広報誌「いかわ」に記事を
書いてくださったとのことだった。
母は、そのことを父のいちばん下の妹から聞いた。
名前を敏子という。
敏子叔母は、家に配られた「いかわ」七月号に、
春風社十周年パーティーの模様を詳しく
感動的に書いてくださっている町長の文章を読み、
うれしくて、すぐにわたしの実家に電話をした。
電話には母が出た。
うれしい知らせを一刻も早く兄夫婦に知らせたいとの
気持ちからだったのだろう。
その時点で、わたしの実家に「いかわ」は
まだ届いていなかった。
電話に出た母に報告しようとしたのだが、
人一倍涙もろい叔母は、一言も告げられず、
電話口でおいおい泣いたというのだ。
慌てたのは、わたしの母だ。
「なした? なした? なにがあったが?」と、
かなしい知らせかと勘違いし、
叔母を問いただした。
嗚咽しながら切れ切れに話す叔母の言葉を耳にし、
ようやく事の次第が飲み込めた母は、
急いで父を呼び、電話を替わった。
うれしい知らせを自分だけでなく、
父にも直接聞かせたかったのだろう。
実家にも昨日「いかわ」が届き、
さっそく父から電話があった。
父は、ゆっくり大きな声で一言一言刻むように読んでいく。
父の朗読を聞きながら、
齋藤町長のありがたい真心がずんと胸に染みてきた。
噛んでふくめるように読んでいた父が、
最後のほうになって、声を震わした。
それでも父は、歯噛みして読みきった。
齋藤町長の「町長日記抄」は、
ここから入り「広報いかわ」をクリックし
アクロバット・リーダーで読むことができます。
 みずたたき腹の虫まで叩きけり

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GO TO SLEEP

 みずたたく男の眉間の皺二本
自宅で使っているパソコンはe-yama製のものです。
そのメーカーの名前をあまり、というか、ほとんど、
というか、まったく聞いたことがありません。
でも、この日記を書いたり、
インターネットを見るぐらいですから、
基本的にはさくさく動いてくれます。
ただ時々、本体はちゃんと作動しているのに
ディスプレイだけが勝手にOFFし、
ぷわ〜〜〜んと、いかにも眠そうな
GO TO SLEEPの文字が現れます。
なんだよ、勝手に寝るなよと思うのですが、
相手は人でなく機械ですからどうしようもありません。
この日記を途中まで書いているときに寝られたときは、
さすがに腹が立ち、廃棄にしてやるぞ、
と思いましたが、短気は損気なのでぐっとこらえ、
だましだまし使っています。
今日は寝ないで、
このように最後まで書かせてくれました。よしよし。
 みずたたく直立不動の男あり

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なんもなんも

 アンチョビのトマトグラタン糸引けり
好きな秋田方言に「なんもなんも」があります。
「ん」は「に」が撥音化したものでしょうから、
もともとは「なにもなにも」
ではなかったかと思われます。
たとえば、
「先日は結構なものを頂戴いたしまして、
本当にありがとうございました」
というのを秋田方言で言ったそれへの返答として、
「なんもなんも」と言えば、
十分その気持ちは伝わります。
「いえいえ、どういたしまして。
ほんのこころばかりの品ですからお気になさらないでください」
ぐらいのニュアンスが「なんもなんも」には含まれます。
なかなか便利な言葉です。
 埼玉の友ありビールに夜の風

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りなちゃんの別腹

 ミズタタキ青山椒のぴりりかな
ここに何度か登場しているりなちゃんですが、
今は小学二年生。
ご近所なので、遊びに行ったり遊びに来たり。
りなちゃんはときどき面白いことを言います。
朝、お腹の調子が悪くて、
ママに頼んで担任の先生への通信欄に
「体育は休みにさせてください」と
書いてもらったそうです。
でも、もし体育の授業が水泳の場合は、
休みませんとの但し書き。
ママが、
「あなた、お腹が痛いのに水泳できるの?」
と訊くと、りなちゃん、
「いいのいいの。水泳は別腹だから」
お後がよろしいようで。
 青山椒一粒ごとの口腫れる

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うれしい床屋さん

 ぶん回し青大将を叩き付く
なじみにしている床屋さんがありまして、
月に一度は事前に予約を入れ頭を刈ってもらいに行きます。
このごろますます髪の毛が減り、
坊主刈りでもありますから、
仕上げまで二十分と掛かりません。
日曜日に電話をしました。
「今日、空いてますか?」と訊くとだいたい
「残念ながら空いています」と、
トホホな答えが返ってくることが多いのですが、
今回は違っていました。
「いやぁ、あいにく一日ふさがってましてね。
夕方七時ぐらいでしたらなんとか」
かみ殺してもうれしさが声ににじみ出ているようです。
「あいにく一日ふさがってましてね」
言いたかったんでしょうねぇこのセリフ。
約束の七時をちょっと過ぎたころに訪ねると、
前の人がまだ終わっていませんでした。
五分ほど待ってわたしの番になり、
椅子に腰掛けました。
「よかったじゃないですか」
「ええ、朝の六時半からかかって休みなしです。
これでやっと先月より少しよくなったぐらいですかね。
でも、こんなのは年に四回ぐらいですから…。
お客さんの後もう一人予約が入っているんですよ。
十四時間働いたことになります」
「帰ったら一杯ですね」
「ええ。久しぶりに旨いビールが飲めま、あ、
いらっしゃいませ。そこに掛けてお待ちください」
さっぱりしておカネを払うと、
長髪の青年がソファから立ち上がった。
 ぶん回し青大将が卵吐く

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ちっちゃいミカン

 ビル掠め一陣の夏かぐはしき
秋田の父が送ってくれたミズ(山菜)で
ミズタタキをつくりました。
ミズタタキには山椒が欠かせません。
一粒つぶすだけで柑橘系の芳香が辺りに漂います。
調べてみたら、山椒は
ミカン科の落葉低木だそうです。道理で。
出始めの頃の青いミカンの香りにそっくりです。
直径二、三ミリのあんなちっちゃい粒でも、
おいらを馬鹿にしちゃあいけねえ、
ちっちゃくてもミカンなんだぜ、
とハッキリ主張しているようです。
ナマの汁がくちびるに付いて腫れるひともいるぐらいです。
 ゴキブリがジグザグ這ひずるアスファルト

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