朝風呂

 青蔦や絡まる壁の堅さかな
福島民謡に「会津磐梯山」がありますが、
そのなかに小原庄助さんという人が出てきます。
実在の人物なのか、
伝説上の人物なのか分からないそうです。
朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、
それで身上(しんしょう)を潰したことになっています。
身上とは財産のこと。
ところで、わたしも朝湯に入ります。
好きかというとそうではなく、
もともと風呂があまり好きではありません。
入らなくても済むなら、そうしたい。
でも、そんなわけにもいきません。
朝湯と晩湯の二者択一で、
朝湯になったというのが正直なところです。
なんだかシャキーンとするんですね。
ところが、こう暑いと、
帰宅した後、汗が気持ち悪いので、
風呂には入らなくても、シャワーぐらいは浴びますから、
一日二度湯に浸かったり浴びたりすることになります。
朝湯に浸かって小原さんは身上を潰したのに、
一日二度も浸かったり浴びたりでどうなのよ、
とも思いますが、
潰すほどの身上があるわけでなし、
心配することもありません。
 蔦茂る見えねど水を吸ひ上げつ

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オカズから?

 風呂上り爪で尻掻く行々子
このごろ、えっ! そうなの?
ということがありまして、
それは、ご飯が先かオカズが先かです。
わたしは何の疑問ももたずに、
ご飯が先と思っていました。
ご飯→オカズ→ご飯→オカズ→ご飯→…
ところが、周りに訊いてみたら、
どうもそうではないようです。むしろ、
オカズ→ご飯→オカズ→ご飯→オカズ→…
のようなのです。
わたしにしてみれば、ご飯は主食でオカズは副食、
食べる量の比率も、ご飯6に対しオカズ4
ぐらいの割合でした。
そうすると、どうしてもご飯の量がすすみ、
外食でご飯モノの定食なんかを頼むと
だいたいご飯のお替りをしてきました。
ところが、
オカズ→ご飯→オカズ→ご飯→オカズ→…
でバランスよく食べると、
お替りしなくても済みます。
少なくとも秋田のわたしの家族は、
ご飯→オカズ→ご飯→オカズ→ご飯→…
こっちの方式で食べているはずです。
これはひょっとしたら、米を作っている農家の
食文化の一つかもしれません。
と書いてみましたが、わたしの家だけなのか?
亡くなった祖父のトモジイは、
とにかく口いっぱいにご飯を詰め込み、
よく父にたしなめられていたものですが、
晩年、普通の量のご飯を口に入れている
トモジイの姿を見て、悲しくなりました。
 有難や怒りも忘る行々子

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梅雨明け

 この感じ梅雨の所為とも言ひ切れず
昨日は暑かったですねー。
たまりませんでしたので、
以前あの藤原の理科、いや、
藤原紀香さんも訪れたという鰻専門店の
清泉さんに行ってきました。
鰻丼を所望、待つこと十五分、
出てきましたよ。
どんぶりの蓋を開けると、
こんがり焼き上がった鰻に秘伝のタレが乗り、
きらきら輝いているではありませんか。
まず箸で鰻を適当な大きさに切り、
適当な量のご飯と一緒に挟み口中へ。
えも言われません。
ふと見ると、土日の競馬ファン
(場外馬券場がすぐ近くにあるので)
のための大型テレビに、関東は梅雨明け宣言の文字。
なるほど暑いわけだ。
鰻丼を静かに味わいながら、
ぽけーとテレビを見ていると、
横浜市保土ヶ谷区が中継されています。
なんと。自宅のそばではありませんか。
横浜で作られたスカーフが、かつては世界市場の
五十パーセントを占めていたそうです。
知りませんでした。
と。一つ知識も増え、そろそろ昼の楽しい休憩時間も終わり。
さて、今日も暑うなるぞう!
って、笠智衆か。
 だれとなく憎みたき夜の百足虫かな

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金亀子

 坂道の倒れし草の金亀子
金亀子でコガネムシ、って読むんですね。
俳句ではよく使われるみたいです。
黄金虫=黄金の虫もいいですが、
金亀子=金の亀の子だと、
コガネムシが確かに亀の子どもに思えてきます。
ひっくり返ったときの感じなんて亀そっくりですから。
読み方も、コガネムシでなく、
キンカメコのほうが可愛いような。
汗でべとべとになり疲れて帰った夜に、
玄関ドアの前で大きな金亀子が
鳴りを潜めてひっそりしていることがあります。
別の世界からの使者でもあるかのごとく。
見とれて数秒、疲れを忘れます。
 金亀子腹からボタリ落ちにけり

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イカの塩辛

 音たてて七月雨を降らせたり
料理づくりが趣味なので、
昔から好きだったイカの塩辛を
自分で作ってみようと、かなり真剣に考えたのですが、
アニサキスとかいう寄生虫がいることが多いらしく、
これが体内に入ると、胃壁に穴を開けもぐりこみ、
大変な痛みと出血を伴うという話を聞き怖くなりました。
自分でつくるのをあっさり諦め、
今までどおり市販のイカ塩辛でいくことにします。
学生の頃に住んでいたアパートのすぐ近くに酒屋があり、
そこのご主人がたいそうイカの塩辛好き
(女将さんが、そう言ってました)で、
市販のものをいろいろ試したが、これが一番だそうですよ、
と女将さんが薦めてくれたのが小野万のイカの塩辛です。
以来三十有余年、ずっと小野万のファンです。
が、ここにきて、むむ、これは!と唸るイカの塩辛に
遭遇しました。
それが波座(なぐら)物産のイカの塩辛。
商品名は、「昔ながらの手造り塩辛」です。
値段は小野万のものより少し高めですが、
イカの旨みがギュッと詰まって、
味は極めて濃厚かつ隠微。
ただいま食卓の常備品です。
 蜘蛛そっと手で逃がしやる夕べかな

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日本図書館協会選定図書

 バチバチと天の馬尻の破れたり
漢字ばかりで、強そうな名前ではありますが。
日本図書館協会から任命された専門分野の選定委員
50名が、一冊一冊に目を通し、
公共図書館に適している本を選びます。
年間6万点以上の新刊本のなかから
平均16パーセントの書籍が選定図書に選ばれます。
ところが、昨日、日本図書館協会に確認したところ、
春風社の本で、これまで選定図書に選ばれたのは
97冊あり、割合としては33.3パーセント、
イチローの打率に肉薄する勢いであることが判明しました。
順位までは教えてもらえませんでしたが、
相当上位であるとのことでした。
(ひょっとして一番!?)
この数字は、誇りに思っていい数字だと思います。
図書館はなんといっても、
本が多くの人の目に触れる場所です。
そこに置くのがふさわしいと、
それぞれの道の専門家が判定してくださったのですから、
ありがたいことです。
イチローの打率を意識しながら、
これからもがんばります。
 雨風にぶん回されし鬼ヤンマ

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土こそ薫れ

 雨流れ山の緑の極まれり
土井晩翠が作詞をした秋田高校校歌の三番の歌詞に、
「篤胤 信淵 二つの巨霊 生れし秋田の土こそ薫れ」
とある。篤胤は平田篤胤(ひらた あつたね)。江戸後期の国学者。
信淵は佐藤信淵(さとう のぶひろ)。江戸後期の農学者。
二人とも秋田の生まれだ。
本の出版のことで訪ねた秋田のノースアジア大学は、
佐藤信淵を建学の精神・学祖と仰いでいる。
創立は1953年。
「秋田魁新報」に掲載されたわたしの文章
「出版社は絶滅危惧種!? 本離れが進む時代の出版人の思い」をノースアジア大学の理事長・学長である
小泉健氏が読んでくださり、お問い合わせをいただいた。
理事長のお話を承り、
また親しくお話をさせていただいた後、
持参した「目録新聞」の束をお目に掛けると、
すぐにその場で秘書の方に、
「魁」の記事のコピーと「目録新聞」を先生方へ
配布するようにご指示くださった。
ありがたかった。
一晩実家に泊まった翌日、つまり昨日、
父の話によると、しばらくなかったほどの大雨になった。
天のバケツが破れでもしたかというぐらいの雨が降り、
作物には慈雨となったことだろう。
靄に煙る鮮やかな山の緑とご縁に感謝しながら、
帰りの新幹線に乗った。
 ひたすらに雨をしのいで鬼ヤンマ

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