清野とおるさん

 

 こころまで汗を掻き掻き空ろなり

東京都北区赤羽の街と人を描く漫画『東京都北区赤羽』
が大ブレイク中の清野とおるさんが、
今月横浜にいらっしゃいます。
わたしがインタビュアーを務めるトークイベントに、
ゲストとしてご登場いただきたい旨をお願いしたところ、
快く引き受けてくださいました。
ゲストはもう一人。
神奈川新聞社の佐藤将人記者です。
佐藤さんは、
ご存知『突撃! よこはま村の100人 自転車記者が行く』
の著者です。
二人のゲストといっしょに、
「街を歩けば人にあたる」をテーマに、
たのしくおしゃべりしたいと思います。
むかし、
「大きいことはいいことだ」
というコマーシャルがありましたが、
もうそんな時代ではありません。
大きいものより小さいもの、
新しいものより
古いものにこそいいところがあり、
安心します。
人はせいぜい二メートルぐらいしか伸びないのだし、
機械みたいに新しくもなれないのですから。
さて、
「街を歩けば人にあたる」のトークイベントは、

 ●日時 5月25日(金)午後8時~
 ●場所 春風社
 ●会費 千円

どうぞ、ふるってご参加ください。

 字を読みてエネルギーまで吸ひ取られ  野衾

共感の物語

 

 わくわくとひっくり返す衣更え

東京都北区赤羽の街と人を描く漫画『東京都北区赤羽』
が大ブレイク中の清野とおるさんに、
神奈川県横浜市の街と人を取り上げ、
この度『突撃! よこはま村の100人 自転車記者が行く』
を上梓し大ブレイク予定の佐藤将人記者がインタビューしました。
その記事が、
今月二日の神奈川新聞に掲載されました。
コチラです。
町おこし、村おこしが叫ばれてから久しく、
それなりに実績を上げているところもあるようですが、
二人の対談を読むと、
街の面白さの基本は人である、
ということに改めて気づかされます。
街の面白さ、人の面白さを描くことにおいて、
二人は共通していますが、
その前提にあるのが「共感」ということも頷けます。
共感の欠けた時代に、
二人のつむぎだす物語が輝いて見える所以です。

 半袖を着て十歳は若返る  野衾

回転寿司屋にて

 

 散る花のふるさとの果て陶淵明

長い連休が終り、今日から仕事。
頭を切り替えなければいけないのですが、
まあ、ぼちぼちと。
さてこの連休、
わたくし早々に秋田へ帰りました。
ふるさとの最寄り駅井川さくらまで、
父と母がいつものように車で迎えに来てくれました。
家人と後部座席に乗り込むと、
車は国道七号線を一路八郎潟方面へ。
これもいつもの通り。
ほどなく道路脇の回転寿司屋に到着。
駐車場に車を停め、
四人揃っていそいそと暖簾をくぐり、
案内されるままカウンターに並びます。
イカやエビやタコやウニやイカやエンガワやカニやイカを頼みます。
父もわたしもイカが大好物。
なので、どうしても、
ポイントポイントでイカを頼むことが多くなります。
父が突如、
「ゴルバッチョください」
なかで働く若い職人さんはキョトンとしています。
父はなおも
「ゴルバッチョくださいゴルバッチョ」
職人さん、ようやく気づいたらしく、
「ああ。カルパッチョですね」
父、「は! なんて?」
「カルパッチョですね」と職人さん。
「ゴルバッチョじゃないの? ははは…。
まあ、どっちでもいいけど。
それを一つください」と父。
対応してくれた職人さんだけでなく、
他の職人さんも側にいたお客さんも笑っています。
父も母も大笑い。
わたしも家人もつられて大笑い。
場内はまさに笑いの渦。
分かりやすい言いまちがいです。
ゴルバチョフ+カルパッチョ=ゴルバッチョですから。
こうして連休の幕は明けました。

 もののふの集ひし里の五月かな  野衾

トークイベント

 

 鉄塔も人も錆びつき朧なり

今日の「よこはま 本への旅」は、
詩人の佐々木幹郎さんをお呼びし、
ただいま好評発売中の『ことばのポトラック』について、
お話をうかがいます。
だけでなく、
自作の詩の朗読をお願いしてあります。
わたしは以前、
佐々木さんの詩の朗読を聞く機会にめぐまれ、
不意を突かれたように、
体が熱くなり、
涙が溢れてきたことがありました。
詩って凄いなあ、
ことばっておそろしいと思いました。
また、
だからおもしろいとも。
トークの後半では、
詩のことば、詩の作法、推敲について等々、
ぜひうかがいたいと思います。

 かなしみはとろけ朧となりにけり  野衾

生涯の一冊

 

 唇に春雨落ちて泣きにけり

むかし勤めていた出版社で同僚だった友人来社。
友人は、
今は別の出版社の役員をしています。
著者の先生からの紹介で、
ある原稿を預かったそうですが、
自社では出版が難しく、
春風社ではどうだろうか
とのことで、
見るだけでも見てほしいと持ってきたのでした。
疲れたこころと頭と眼を駆動させ、
いいところを汲み取ろうと頑張りましたが、
やはり、
企画で引き受けることは難しいと判断したので、
丁重にお断りしました。
企画でやろうと判断する基準をことばにすると、
「本を読まない人のための本」
かどうかということになります。
持ち込まれるほとんどの原稿は、
仮に作ったとしても、
「本を読む人のための本」にしかなりません。
それでは本の売れないこのご時勢、
もとから売れるわけがありません。
読者にとって「生涯に一冊の本」
になる可能性を秘めた本しかわたしは作りません。
あくまで企画の話です。

 春雨を飲んで人の世空しかり  野衾

家宝

 

 南では真夏日録す処あり

『突撃! よこはま村の100人 自転車記者が行く』
に収録させていただいた方々へ
本をお送りしたところ、
お礼の電話を下さった方がいらっしゃいました。
総務の中田からその旨つたえられ電話を替わると、
「本が届きました。一生の家宝にします。
ひとことお礼を言いたくて。
ありがとうございました」
胸がジーンとなり、
ふと思い出したのは、
「春風目録新聞」第十号収載の小池昌代さんのことば。
「絆は感じるもので、言葉にはしないほうがいい。愛もまた。」
まこと、そのとおりです。
お礼の電話にお礼を申し上げ、
電話を切った後も
下を向きそのことを考えていました。

 半袖とセーター交じる狂の春  野衾

『よこはま村』完成!

 

 東京のビル群出でて春の雨

『突撃! よこはま村の100人 自転車記者が行く』
が完成しました。
タイトルが長いので、
略して『よこはま村』
これなら覚えやすいでしょう。
完成にあわせてお呼びしていた神奈川新聞社の佐藤将人記者は、
本を手に持ち撫でさすり、
「スゲー!」
あははは…。
佐藤記者がこの本の著者です。
素敵なイラストをたくさん描いてくださった得地直美さんは、
「すごい。すごい。ほんとうに出来たんだぁ」
うれしさが掛け合わされ、
餅がふくらむように、
フワ~とうれしさがふくらんでいきます。
しばし、もちもちしていたい気分。
下版ぎりぎりで地図を描いてくださったたけなみさん、
かわいく温かく手になじむ本をデザインしてくれた多聞くん、
ありがとうございました。
「街を歩けば人に当たる」がコンセプトのこの本、
みなさん、
どうぞ手に取ってみてください。

 春雨や意味に疲れし人もあり  野衾