レディ・カガ

 

・階段を上りしとしと銀座かな

JR保土ヶ谷駅構内で見つけました。
レディ・カガ。
はん!?
おがしぐねが。
誤植け?
そんなことはありません。
キャンペーンのための、
ちゃんとしたポスターなのでした。
おもしろいので、
近づいてパチリ。
レディ・ガガをふまえ(!?)、レディ・カガ。
ガガさん太っ腹だから、
こういうのOKなんでしょうね。
一応ことわったのか知らん。
というわけで、
加賀温泉郷のレディ・カガたちが
あなたをこころからお待ち申し上げます、
こういうことのようです。
春風社にもレディ・カガがいます。
武家屋敷。
ポスターのことをさっそく彼女に報告したところ、
それってどうなのと大うけしていました。

・銀座にてキョロキョロ六月の雨  野衾

一日静か

 

・干し鮎の黄緑食す二人酒

電話も鳴らず、
来客もなく、
宅配便のお兄さんが来る時間でもなく、
シーンと、
人が居るのかいないのか、
わからないぐらい静かの時があります。
きのうがまさにそうでした。
なんともいえず心地よい。
寺院のなかにいるようです。
仕事も、
自分にできることを精一杯
すればいいのだと、
垂直に
祈りたくなるような時間が降ります。
お蚕さんが桑の葉を食むように、
紙に印字された文字をゆっくりと味わい、
考え、
ぶれを直していきます。
秋田では、
雨が降らなければいけないこの時期に、
雨が降らずに困っていると、
父から電話がありました。

・紫陽花や雨に色あり寺の鐘  野衾

踵のこころ

 

・きのふ白けふ紫の垣根越し

先々週のことです。
黄金町にある映画館ジャック&ベティまで歩きました。
少し履き慣れてきた靴に中敷きを入れ。
それがよくありませんでした。
早々に靴擦れを起し、
コンビニで傷絆創膏を購入し三層に貼ってこれでよし!
と思ったのですが、
考えが甘く、
痛みはだんだん増してきます。
あのとき、
なぜ中敷きを取らなかったかが不思議です。
同行の二人に遅れをとりながら、
そろりそろり盗人のように歩きました。
こころが次第に下降し、
丹田を通過、
もはや上半身を離れ、
膝を通り越して踵のところに落ち着きました。
踵のこころは景色を楽しみません。
地面から数センチのこころは、
ひたすら塞いでいます。
家に帰って水ぶくれに針を刺して水を抜き、
ようやくこころが上に戻ってきました。
あのとき、なぜすぐに中敷きを抜かなかったのか。
せっかく買った中敷きだから、
もったいなく思ったのか。
やぶれかぶれ。
しばらく中敷きを抜いておくことにしました。
*
写真は、しょうこさん提供。

・曇天の下を蟻が這ってゐる  野衾

ガーリックフランス

 

・梅雨避けて一万千の踵かな

先週に引き続き、休日の散歩としゃれ込みました。
「パン当てクイズ」と題し、
財布を持たずに出て
ひもじく遊んだことをここに書きましたが、
それは、そのとおりなのですが、
ガーリックフレンチはガーリックフランスの誤りでした。
訂正してお詫びいたします。
昨日、かもめパンのお店の前を通ったとき、
家人に指摘されました。
家人いわく、
ガーリックフランスは、
パンの定番なのに、
それを間違えるということは、
ふだんいかにパンを食さないかの証拠である云々。
はい、そのとおり。
「気づいていたら、教えてくれよ。
間違えちゃったじゃないの」
「意味は通じるから、いいかと思って…」
あらためてウインドウに置かれたプレートの文字に目をやると、
たしかに、ガーリックフランスと書かれていました。
ためしに買って食べてみようかとも思いましたが、
それほどの若さもなく、
パンより米の飯が好きなわたしとしては、
確認するだけでやめて歩き出しました。

・紫陽花や絵の具を吸ひて色づけり  野衾

ポスター

 

・梅雨下りて南部鉄器の円さかな

紅葉坂を下り、
本町小学校方面へ曲がってすたすた歩いていたら、
数枚貼られたポスターの一枚に目が行きました。
選挙前ならともかく、
ふだんその類のポスターを
立ち止まってみることなどありませんが、
しばらく感心して眺めてしまいました。
だけでなく、
写真も撮りました。
だれかが遊びごころでいたずらしたのでしょうか。
目をひくために身内がやったとか。
それはないか。
いずれにしても、
わたしが立ち止まって眺めたことは事実ですし、
今まで意識したことのなかったこの方の
名前も顔もちゃんと覚えました。
この行為、
見つかればおそらく犯罪でしょう。
でも、なんだか憎めない。
何枚か同じものが貼られているうちの
一枚だけがそのようでした。
改めて見れば、
もともときれいな女の人ですが、
細工をされたことで、
眼が異様に大きくなり、
かわいさ抜群、
衆議院はもとより、
akb48の総選挙に出ても当選確実でしょう。
なんて。
*
ヘッダーの春風フォトストーリーは、
今日から夏バージョンです。
お楽しみください。

・六月の刃こぼれ起す過去を聴く  野衾

行為と運命

 

・霧深し瞋りも慾も霧の中

朝読んでいる山際素男編訳『マハーバーラタ』が
ようやく八巻目に入りました。
少々息切れしてきました。
五巻目まで闘いのシーンが多いなあと思っていましたが、
後半に入り、
今度は道徳の話がやたらに多い。
でも、
わたしは道徳の話が嫌いではありませんし、
子どものころ、
道徳の授業はむしろ好きでした。
いま思うに、
ほかの授業と違っておぼえることが何もなく、
机に頬杖ついて
先生の話を黙って聞いていればよかったからかなとも思います。
それはともかく、
『マハーバーラタ』ですが、
八巻目にこんな問答が出てきます。
人の行為と運命ではどちらが有力かと。
問うたのはユディシュティラ。
それに応えてビーシュマは、
昔、聖仙ヴァシシュタとブラフマー神との間で交わされた
問答を引き合いに出します。
「現世で積み重ねたカルマと、
前世で得た運命というものとは、
どちらが人の人生を形作る上でより有力か」
との聖仙ヴァシシュタの問いに、
ブラフマー神いわく、
「己れ自身の行為は土のようなものであり、運命は種子に比せられる。
土と種子とが一緒になって収穫が生れるのだ。」
神様がおっしゃるのだから、きっとそうなのでしょう。
耳の中では、スティーヴィー・ワンダーの、
JOURNEY THROUGH THE SECRET LIFE OF PLANTS が鳴っています。
八巻目は短い物語がいろいろ収められていて楽しめそうです。

・三毒の瞋恚咬み咬みかたつむり  野衾

くしゃみ

 

・ゲリラ雨疲れ肴に一人酒

ここ二ヶ月ほどでしょうか、
なんの前触れもなく、
右の鼻穴の中がむずむずしだし、
へ~、へ~、へ~っくしょんちくしょう。
風邪の引き始めのわけはなく、
経験上、
これは絶対に長い鼻毛の仕業であるなと睨み、
洗面所の鏡に向かい、
カバのごとくに眉間に皺を寄せ
鼻穴を大きく拡げてみるのですが、
敵は一向に見つかりません。
おかしいな、
絶対に鼻毛のはずなんだけどなと疑いつつも、
くしゃみの回数も減ってきて、
忘れかけていた矢先の昨日、
なにげなく
親指と人差し指を鼻穴に持ってゆき、
見えない敵をあてずっぽうに摘まんでみたら、
あ~らら、
やっぱりね。
どこに潜んでいたのか、
超特大の黒々とした鼻毛が現れました。
ふむ。
なんで見つけられなかったかな。
ティッシュに植え付け、
しばし観察。
ねじれて黒光りしています。
龍の髭みたい。
ここまで成長するには相当でしょう。
なんだか捨てるにはもったいない。
きしめんみたい。
など、
せっかくですから、いろいろ観察し、
いとおしくもなってきましたが、
とっておくのもどうかと思い、
意を決しまるめて屑籠に捨てました。
おかげでくしゃみは以後ぱったりと止みました。

・かたつむりゲリラ豪雨をやり過ごす  野衾