無理に剥がさない

 

きのうのつづきのことですが、
「どうしてそんなこと言うの?」「そんな言い方ってある!?」
「クソッ!!」
と、腹に据えかねた場合、
腹に据えかねるだけでなく、こころに少なからず傷を負うことが間々ありまして。
そうすると、
「どうしてそんなこと言うの?」「そんな言い方ってある!?」
「クソッ!!」
まずいまずい。ほかのことを考えなきゃ。
とは思うものの、
同じことばが頭をめぐり、やりくりを始めます。
こうなるといけません。
まるで、
傷を負ったときに、放っておかずに、
直りかけたかさぶたをしょっちゅう触ってみたり、挙句の果てに剥がしてみたり
するのにも似て。
どういうのか、ひとつの癖みたいなものでしょうけれど、
これが、わかっちゃいるけどやめられない。

 

【かさぶた】痂皮(かひ)とも。
皮膚が創傷を受けたとき、傷口から浸出した血液や組織液が乾固したもの。
炎症や化膿(かのう)を伴うこともあるが、そうでない限り、
その下に表皮が新生して自然に脱落する。
むりにはがすと、治癒(ちゆ)が遅れ、瘢痕(はんこん)を残すことがある。
(百科事典マイペディアより)

 

引用した説明文の「皮膚」を「こころ」に置き換えると、
ひとのことばによって受けた傷にもピタリ当てはまるようです。

 

・商店街火点しごろの冬の月  野衾