『石川文庫蔵書目録』

 

日曜日、仕事帰りに持ちかえった『石川文庫蔵書目録』は、
(一)と(二)の二冊ありまして、
いずれもB5判ソフトカバー。
(一)が昭和五十四年三月一日、発行者は昭和町教育委員会、274ページ。
(二)が昭和五十五年三月三十一日、発行者は昭和町教育委員会、224ページ。
編集者として川上富三さんの名が記されています。
わたしは、
疲れたなぁ、と感じたときに、
この目録をぱらぱら捲るのがいつからか倣いになりました。
石川理紀之助さんの蔵書は約二万冊。
貝原益軒さん、佐藤信淵さん、宮崎安貞さん
の本があるのは
「農聖」とよばれた理紀之助さんのことですから、
なるほどと納得。
福住正兄さんが書いた『二宮翁夜話』があるのも
うれしく思います。
また、
若い頃から和歌に親しみ、
多くの歌を詠んだ理紀之助さんらしく、
『万葉集』『古今和歌集』
をはじめ、
『伊勢物語』『源氏物語』『紫式部日記』『枕草子』『徒然草』など、
国文学の古典が、
尚庵とよばれる畳の間の書箱にあるそうです。
これについて、
編集した川上富三さんは、
つぎのように書いています。
「晩年、いわゆる座右の書として愛読した書籍である。
愛読といつたが、
必ずしも読んだものでもないらしく、
その書籍を傍におくことによつて、
心の安らぎを覚えるといつたていどの書籍も含まれているようである。」
ところで、
この川上富三さん、
もちろん面識があるわけではありません
けれど、
お名前をどこかで目にしたことがある、
いや、
あるような気がして、
まえに帰郷した折、
古い賞状を確かめたところ、
中学生のときに、
英語の暗唱大会で優良賞をいただいた折の賞状の授与者として、
川上富三さんの名前がありました。
は~、
そうであったか、
と、
なんだかとっても不思議な気がした。
これまた、
新井奥邃(あらい おうすい)さん言うところの
「かげひびき」であると思います。

 

・朝ぼらけ台湾栗鼠の走る夏  野衾