拙句集『暾』の書評

 

ことばについて勉強し考えてきた今の時点での証、とでもいいましょうか、
昨年10月に句集を上梓しました。
季語があり、五・七・五、
十七音に収めていますので、伝統的な有季定型の俳句です。
句集のタイトルは『暾』。
ま~るい朝日が昇るさまを表す語で「とん」と読みます。
書評が『図書新聞』に掲載されました。
評者は、敬愛する中条省平さん。
中条さんと『図書新聞』の担当者の了解を得ましたので、
紹介したいと思います。
コチラです。
中条さんは、学習院大学の先生ですが、
文芸評論をはじめ、映画、音楽、マンガなど、
さまざまな表現行為に関してこれまで鋭い分析を行ってきました。
「鋭さ」は、時に「冷たさ」にもなりがちであるとわたしは考えていますが、
中条さんの書くものは、
スパパパパン!!!
と、いかに鋭くても、
その底に「温かみ」(ときに「可笑しみ」)がある、
と感じています。
これは稀有なことだと思います。
血のかよった世界観が関係しているのでしょう。
拙句集についての書評を読ませていただき、
作者として驚いたのは、
いろいろなところに埋め込みちゃんと隠したつもりで、
果たして気づく人があるかな、
おそらく、
あまり気づかれないのでは、
と想像していたものが、
ことごとく見つけられてしまったことです。
鋭い! なのに温かい!
また頑張ろう! と勇気が湧きます。
とくに「見送りの父母淡き肩に雪」に関する評には舌を巻きました。
雪合戦で思いっきり放った雪の玉を、
胸のところ両手でバシッと受け止めていただいた、
そんな感じ。
ありがとうございました。

 

・褻にもある晴れを愛でるや松の内  野衾