本が見つかる

 

自宅の本棚は五本あり、ゆるくジャンルに分けれていますが、
本が増えるにつれ、
一列に並べた板の手前にスペースがあると、
そこにも本を並べたり重ねたり、
そうすると、
奥に在る本の背文字が見えなくなり、記憶にたよって、目当ての本を探すことになります。
この頃はさらに、
本棚に収まり切らない本が増殖し、
廊下にある二つの収納スペース、居間の天井に取り付けられた収納スペース、
テーブルの下、一人用ソファの後ろ等々、
それぞれの場所において、
二重三重に重ねられ、
ほとんど、何といったらいいか、いわばブロック状態を呈してきました。
こうなりますと、
ふと思いつき、目当ての本を探す段になった場合、
すぐに見つかればいいけれど、
そうでないことのほうが圧倒的に多く、
ブロックを順繰りに解体していった果てに、
そこにないとなると、
ほとほとほとほと疲弊します。
さて、
きのうのこと、
ずっと前に買って、読まずにいた本を、
いま読まなければいけないという心理的欲求がにわかに生じ、
たしか、この辺りに置いたはず、
と狙いを定め、
ブロックを崩していったら、
あ!
あったあった!
ほっほうっ!
ふふふ。いいぞ。なかなかやるな、オレ!
自画自賛。
家人外出中のこととて、独り、にんまりしていたかもしれない。
こころに余裕が生まれ、
サイフォンでコーヒーを淹れ、
ソファに深々と腰掛け、ゆったり、まったり。
探し当てた本を読まないのに、
なんだかすっかり満足し。
というわけで、
なかなかの、
いい勤労感謝の日でありました。

 

・在来線すすきが原を行く日かな  野衾